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SF・ファンタジー・ホラー

マスクエリア 第五覆面特区〜二章 崩壊の足音(1)

   

 第五覆面特区よりも、遥かに先進的である、太平洋中央特区。近隣特区を取りまとめるこの特区には、実質上の統治者である「マクベス」の名を冠する豪奢な邸宅が存在していた。
 当主の留守を預かる遠野「兄妹」は、通常では考えられないほど熾烈な、メッセージ性を帯びた第五覆面特区のマスクマンたちの試合をモニター越しに観戦していた……

 

 太平洋中央特区は、特区人たちから俗に「センター」と呼ばれる、いくつもの中央特区の中でも、最も先進性に優れた特区の一つとして広く知られていた。
 各地域を取りまとめるセンター特区であるために、「本土」と比べて、科学技術・情報の統制が緩いこともあったが、関税や預貯金の手数料を徹底して引き下げていることで、各国の政財界人たちが、貿易の中継点や、預金先として利用していることが主な原因として指摘されている。
 預けられる金がどんな性質の資金かを絶対に問わないという取り決めが存在するために、世界中から出所が怪しいグレーな金や、明らかに違法な手法で作られた金が入り込んでくるのだ。もちろん、その点を批判する声が止むことはないが、各国家の首脳レベルでは、問題になることもまたない。
 何しろ、力を持つ列強諸国全てが、この特区に、表沙汰にできない金を預け、違法な貿易のロンダリングをしているのだから、叩き潰そうという声など上がるわけがないのだ。

 

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