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スペシャル・ハンティング

   

 すでにある程度以上「仕上がった」先進国を新興国が強烈な勢いで追いかけていく構図は概ね世界共通だ。
 特に資源と人口増加率に優れたアフリカ諸国の発展は目ざましく、最近の若者は彼の地の名を聞いて飢餓や紛争をイメージすることもほとんどなくなった。
 欧米やアジアとも違う独特の文化やエネルギッシュなスタンスは世界を席巻しつつある。
 もっとも、地域の中でも「差」はある。エジプトやケニア・ナイジェリアの都市部がビル街へと変貌を遂げた現在にあっても、ほとんど手つかずの自然が残っている地域もある。
 成長から取り残されたのではなく、国定公園として保護されているからであるため、そこに至るまでの道や「観光ルート」はしっかりと整備されている。
「ヘイ、ミスター打田。やっぱり散弾銃を選んだね。確かにいいものだが、もっと強い猟銃もたくさん用意してあるのに」
「ははは、やっぱり手に馴染んだものでないとね。シェルの弾頭を変えれば大型獣でも簡単に仕留められるし、僕はそれほど視力が良くない。何せ高校で四十年近くも黒板と睨めっこしていたわけでね」
「ふん、やはり平和な国の人間だな。俺は違う。この六十口径のリボルバーで頭ごと吹っ飛ばしてやるよ。剥製にして楽しむなんてのは柄じゃあねえからな」
 防弾加工を施したトラックの荷台から持ち物を受け取りながら、三人の男が談笑していた。いずれもある程度以上の人生経験を感じさせる容姿をしているが、身に着けた迷彩服のベストとズボンが似合ってはいない。
 服から覗く首は細く、肉体の厚みにも乏しい。しかし、用意された散弾銃を受け取った打田や、まるでオブジェのようにさえ見えるリボルバー拳銃を受け取った小太りの中年の目には、恐れの色は微塵も見えない。
「それでは私はこの空気銃を。ま、鳥撃ちとアラームを兼ねてのものですかね。ゲストの方の獲物を奪ってしまうわけにはいかんですからな」
 金髪を無造作に伸ばした若い男が、やや締まりのない笑みを浮かべてから歩き始めた。
 彼は言わばガイド役であり、打田たちを先導する任務を負っている。道なりに進むだけで水場に到れる簡単な道とは言え、土地勘のない者が歩くのはとても難しく、彼の責任は重大だった。
 もっともガイドの表情には、規定の料金を受け取ったことよりもはるかに大きな満足感に満ちてもいたが。
 打田たちは和やかなムードのまま、歩き、さらに歩き、そして撃った。
 彼らが銃を鳴らすと決まって動物たちは地に倒れ、その血液を地面に滲ませた。
 しかし打田たちはせっかく仕留めた獲物を回収することすらなく、どんどんと進んでいく。
 死体の回収や弾薬食料の補給は後からついてくるトラックに搭乗するスタッフの仕事であり、打田たちの関心の中にはなかった。

 

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