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ミステリー

探偵の眼・御影解宗の推理 【嘆きの双子】11

   

 殺害された古我の現場検証が終わり遺体は救急搬送された。

 犯人は家政婦の長柄だということはすでに伝えていた。動機を聞いていたことを話すと少し短気の望月警部補がそれは警察のすることだ、よけいなことをするなと怒鳴り散らした。

「ですけど、まだ重要な話しをしているところだ」御影は反論した。ここは引くわけにはいかない。「だからそれを話し終わるまで連行するのは待ってもらえないだろうか」

「この若造が、警察をなめているのか」

 警察を舐めるはずもない。おそらくこの警部補はこの怒気で存在感を露わにして、なんとなく警部補まで出世したのだろう。実力も知恵もなさそうな雰囲気を醸しだしている。東京の探偵を否定するのは自ら無力だと言っているのだと御影は理解していた。

 望月警部補の対処法はわりと簡単だなと推察した。

「まぁ、いいでしょう。穏便に…犯人も自白しているし我々のまえで話すのであれば許可しよう」

 速見警部はもうなにも仕事をするつもりはない。あとは連行するだけ。自白もしている。動機を話すのであれば、この日本経済を支えている城里財閥の客間も古びた警察署でもおなじこと。手っ取り早くスピーディーに済ませるのはできる男の証しでもあると御影は認めた。

「では、長柄さん」御影はあらためて名を呼んだ。

 この場でいちばんよろしくない方向へ動いてしまったのは京介と美咲だろう。嘔吐でもしそうなほど蒼白していた。

「はい」長柄は顔をあげた。

「長柄さん、あなたは15年前、お子さんを病気で亡くされてますね──、それと旦那さんもだ。それがこんかいの古我さんを殺害した理由というわけです」

 目を丸くする長柄は一度探偵を見てからうつむていしまった。その様子をみていると深く傷ついた心を探偵という立場でえぐってしまったようで気の毒でもあった。

 それでも彼女は罪を犯した殺人鬼だ。どんな理由でも復讐は肯定されないし、許諾される犯罪ではない。

 事実は白日の下に晒さないとならない。

 

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