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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

怪盗プラチナ仮面 17

   

 三つの弾道を描いて、それは警視庁の真正面に着弾した。

 閃光が走り、都心は炎に包まれる。増子刑事部長は猛火の中を舞う「魔女」の姿を見た。

 

 

TOKYO

 「美園小枝子が自宅マンションから姿を消した」との一報は、直ちに神奈川県警から警視庁に伝えられた。

 吉井明良刑事は翌朝になって知った。虎ノ門署の捜査本部で、騒然とする刑事たちから小枝子の失踪を聞き、自分に任されている雑務を放り出して署を飛び出した。そしてタクシーで汐留署へ引き返した。

 吉井君にとって無念極まりないことに、彼女が2日前にプラチナ仮面に誘拐されかかった話も、その時初めて耳にしたのだった。

 ──畜生! 俺は蚊帳の外で、その他大勢の一人だったわけか!

 吉井刑事はおのれの迂闊さを呪った。そして当然、怪盗への憎しみを燃え上がらせた。

 もはや真行寺探偵の警護など頭の片隅にも残っていない。警察官である小枝子にプラチナ仮面が狙いを付けた理由が何なのか、下っ端デカにすぎぬ自分などに分かるわけもないが、よりによってどうして彼女なのだ? 彼にとっては、ホテルに連れ込んだ『美女』が突然下着を下げ、男性である動かぬ証拠を見せつけた以上の不条理にも感ぜられたのである。

 神戸の展示会は明日始まる。小枝子を連れ去ったのが本当にプラチナ仮面なら、彼女も神戸へ向かった可能性が高い。しかし今のところ、俺は捜査本部に居残りを命ぜられていて、神戸には行けない……いや、ちょっと待て。

 命令が何だ。俺には彼女の方が大切だ。後で「どうしてもプラチナ仮面逮捕の現場に参加したかった!」と訴えればいい。若手刑事の熱き情熱を見せつければ、最悪でも始末書程度で済むだろう。

 汐留署に着くなり、一直線に交通課に走る。竹内やよい巡査が血相を変えた吉井を見つけて叫んだ。

「あっ、王子様登場!」
「誰が王子様だ。それよりタケコ、美園の連絡先知ってるか? あいつの携帯番号それからメルアドとか」
「なんだ、知らないの?」
「知らなくて悪かったな! いや真面目な話、一刻を争うんだから頼むよ」
 

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
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