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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

探偵の眼・御影解宗の推理 【嘆きの双子】12

   

 古我の命令で京介はこのパーティーを開催したことがわかった。

 いささか夫婦喧嘩がはじまったがそれどころではない。古我に弱みを握られているのではないか、そう疑念がおよぶ。

 それはともかく探偵はここで鋭い推理を話した。

 ラジオを流れていた山梨県の刺殺事件。被害者は亡くなったが、ある人物と関わりがあるとわかった。

 探偵事務所で調べまわったおかげもあるかもしれない。

 手紙に書かれていた人物を徹底的に洗ったこともあり、素性が暴けた。そして繋がりも見えた。

 そのときラジオから聴こえてきた被害者のなまえ。それが…

 

「どういうことよ、あなた、あんな人に言われてパーティーをしたの?」

 美咲の恫喝がとんでいた。夫の肩をつかんで責めたてていた。

「どういうことだよ父さん」陽太も顔を赤くしていた。

 美姫は溜め息をえんりょなしに吐露していた。

 どうやら家族も知らないことだった。身勝手きわまりない大黒柱の京介が開いたパーティーだったと思ったがちがったとわかると、こんなにも無駄なパーティーを開いたことに美咲は嘆いていた。

 しかも発案者が執事の古我だというのだから納得はいかない。

 定期的に開催している内輪のパーティーだが、この時期でたった数日ばかりで開いたものだからなにかと思えば、古我の提案をただうけいれたというのだから責めたてられるのは当然だろう。

「主催者は執事の古我だったというわけですね」御影のそのものいいに京介は胸を射ぬかれたように言葉をのんだ。

「なにか古我さんにうしろめたいことでもあるんですか」

「いや、なにも…」京介は視線を右上に動いた。

 その一瞬の視線の動きを御影は見逃さなかった。

 眼球運動はよく把握している。京介は右利きだ。なにか嘘やストレスがかかったときにごまかす動作に、右上をみたのが証拠だ。

 確たる証拠ではないが、疑念を抱かれるのにじゅうぶんな動作であった。

 京介の胸中は、“ある”が、なにもいえないといったところだろう。

 探偵の眼からは逃れることはできない。

「どうやら、かんちがいしていたのはわたしのようだ」探偵は否を認め謝罪した。「もうしわけありません疑ったりして、どうやら京介さんよりも古我のために無償でただ聞き入れただけといったところでしょう。急に先週から探偵の我々に嗅ぎまわれていやな気分になったのかもしれない。だから人の出入りが多ければ探偵はなにもできないから、このわたしにも古我はわざわざ釘をさしにきた。陽太さんや美姫さんを紹介したさいにも、勘ぐられないためにあえて紹介した。言葉を交わすのはこの紹介以外にない。もう話すな、ということですかね」

「なにいってんだ、おまえふざけてんのか…」

 望月警部補がまえのめりになったのを速見警部が止めた。

「いえ、ふざけてはいませんよ」御影は動じない。意図して余裕な態度で嘘をついている。京介の眼球運動は自分についても嘘をいっている。古我とのなにか因縁があるが、それをばらすわけにはいかないのだろう。

「長柄さんは古我さんを恐怖のどん底に陥れるだけの思案があった。だからもっと恐怖をあたえたかった。みせしめのように、つぎは古我を殺すためのフラグをテレビ画面から知らせたのだとしたらそれはだれだって脅えるものだ」御影は妙な言い方をした。

「テレビだと?」

「これです」輪都が昨日報じられた速報を流した。インターネットのトピックスニュースの記事だ。動画もついていた。

「これは…」速見はすぐに気づいた。「そうか、どっかで聞いたような名前だと思ったが」

「はい、自分もそう思ってました」望月は眉があがった。

 

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