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ラブストーリー

『シン!』

   

 メグはポロポロと大粒の涙を流しながらシンをじっと見つめていた。

「シン君が誰だろうと関係ない!私の好きなシン君は世界中でたった一人なの。たとえ、たとえシン君が……」

 メグはシンに抱きつき、胸の中で泣きじゃくっていた。

 

「前から好きでした……私と付き合ってください……」

 学校の中庭にある大きなクスノキの下で、メグは耳まで真っ赤になりながらうつむき、そっと手紙を差し出した。長く真っ直ぐな栗色の髪が垂れ、それが顔を隠す。この世に自分の心臓の音以外がないのではないかと思うほど、脈打つ音以外何も聞こえない。長い沈黙が続いたあと、シンが静かな口調で呟いた。

「ごめん……気持ちはすごく嬉しいけど、今は付き合えないんだ」

 その言葉を聞いた瞬間、メグは体中を駆け巡っていた熱い血がサーッと引いたような気がしていた。
 力が抜け肩を落とすメグに向かってシンが優しい声で話しかけた。

「そうだよね……シン君みたいに勉強もスポーツも、何でもできちゃう人が、私みたいな普通の女の子と釣り合うわけがないよね……」

「別にメグのことをキライなわけじゃないよ。どっちかというと俺に問題があるんだ。メグみたいに可愛い子なら、きっとすぐに彼氏ができるよ」

 振った相手を傷つけないための常套句。シンは自分のことなど何とも思っていないのだと思うと、メグは胸がギュッと締め付けれる思いがしていた。

その思いはシンも同じだった。

 

-ラブストーリー


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