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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

探偵の眼・御影解宗の推理 【嘆きの双子】13

   2017年11月13日  

 15年前の城里家で起きた誘拐事件。

 双子は5歳だった。正々堂々と送り迎えをしている執事が運転する外車を挟みこみ誘拐した。

 二億円の身代金を要求した。警察にしられるのは困る、と京介は通報しなかった。

 急な額が入り用になったというのが不自然に感じた銀行員が警察に通報した。

 刑事が二人電気屋に変装して城里家にもぐりこんだ。

 身代金の受け渡し方法や場所を電話でおしえるはずだったが五日経っても連絡がなかった。

 やはり刑事が侵入したことがバレたのかもしれない。京介と刑事が口論がはじまった。

 そのとき、ついに電話が…

 

 15年前──。

 京介と美咲の子どもである長男長女の双子は5歳の夏、二人とも誘拐された。

 陽太と美姫だ。

 城里家は日本経済の地盤ともいえる財閥だった。当時も相当な収益を得ていた。だから狙われたのだろう。城里家のご子息を誘拐して大金を狙う三名の下劣な誘拐犯が動きだした。

 保育園に送迎する執事。車も外車で頑丈であり、常に大人の目が見張られているなかで誘拐された事実は驚愕なことだった。

 しかし、誘拐された状況はあまりにも豪快だった。

 城里家の執事が運転する保育園からの帰り道のことだ。田舎の山奥へ帰る途中の山道で唐突に道をふさがれ、しかも後方からも迫ってきた。つまり挟まれてしまった。

 運転手はドアを開けて怒気を強めて、どけっ、と怒鳴ったが対向車の車から出てきたのはフルフェイスのヘルメットで顔は見えなかった。前方に二人、後方に一人でてきた。なにが狙いかは一目瞭然だった。すぐに中にいる双子に声をかけた。

「でてこないように」

 ドアを閉じ鍵をかけた。話し合いですませようと運転手は考えたのだろう。しかし、いきなり発砲音が山の中で轟いた。それはこだまのようにいつまでも反響していた。

 双子は耳をふさぎちいさな前歯が並んでいたが表情は恐怖に染まっていた。

 運転手から鍵を奪った男の左手には銃が握られていた。右手で鍵を奪い鉄壁のドアを抉じ開けた。

 運転手は一発の銃弾で息絶えた。

 三台の車で縦列し山奥へと消えていった。

 すぐに電話が城里家にはいった。このままいつまでも子どもらが帰ってこなかったら警察に通報される畏れがあったからだ。

 先手を打った。

 最初は執事がでたが連絡のとれない運転手のこともあり、ただ事ではないと察した。

 京介が対応したが声が震えていた。

「双子は預かった。身代金二億円を用意しろ、さもなきゃ殺す」

 男の声はくぐもった声質で変えて話しているのは明らかだった。

「警察にいっても殺すからな、わかるからな、無駄なことはよせ」

 電話口のうしろでは双子の声がちいさく聞こえていた。

「わかった、用意するから、子どもたちには手をだすな」京介の涙ながらの訴えを、ふふふと嘲笑う声が不気味だった。

 

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