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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

探偵の眼・御影解宗の推理 【嘆きの双子】13

   2017年11月13日  

 京介、美咲は子どもたちのことしか考えていなかった。いいなりになった方が子どもたちを返してくれると信じていた。警察にも通報せず家族内で判断した。

 美咲は泣きじゃくった。京介はその姿をみて「天罰なのかもしれないな」といった。

 家政婦と執事は二人のいっていることがよくわからなかった。

 金を用意するのには時間がかかる。だが、明日には受け取り場所を連絡してくる。それまでに二億円を用意する必要がある。

 城里家と取り引きのある銀行からすぐに二億円を準備するよう指示した。

 どんな使い道でなぜとこんなときに馬鹿げた質問を投げてくるため、クビにするぞ、と京介は一喝した。

 口座には二億円くらいの金は余裕であった。城里家の財産はそんな微々たるものではない。どう使おうと引き出そうと関係がない。と言い張ったが銀行関係者は金は用意したが警察に相談した。

 尋常じゃない城里家の頭首がそんな無茶な浪費はまずしない。なにか事情があるにちがいないと勘ぐった。

 これがもしなんらかの事件に巻き込まれたのであれば、口止めされて脅迫されているのであればといやおうにもマイナスな思考は働く。

 城里家の玄関に作業着姿の男が二名訪問してきた。手には工具入れをもっていた。

「電気屋」と名乗って通された。

 その二人は刑事だった。

 勝手なことをして、城里家頭首は怒気を放った。銀行の責任者は他言しないよう働きかけた。

「子どもさえ、もどってきたら犯人の金額には応じるつもりだ。むりに犯人を捕らえることはしないでくれ。子どもたちがもどってきたら、あとはそちらに任せよう」

 京介の披露困憊の顔からしてもう丸二日眠っていない。

「気持ちはお察ししますが、ここからは警察に任せてください。我々の指示に従ってください」ほっそりとした若い刑事はいった。

「奥さんも不安からか疲弊しているようにみえる。すこし休まれてください」もう一人のいかつい肌黒の刑事がいった。

「わかった──」

 身体をだらりと京介に預ける美咲だった。放心状態で気力は失せている。京介も近くの執事や家政婦を従わせて寝室までついてくるようにいった。

 どうやら二人とも通路で倒れるかもしれないところまで追い込まれている。

「身代金誘拐事件、か──」ほっそりとした若い刑事がいった。

「おおやけにしないわけにはいかないわな」いかつい肌黒の刑事がいった。

 二人ともある狙いがあった。

 身代金受け渡し日はあとで指定してくる予定だった。そのときが犯人逮捕のチャンス。従わずにはいられない状況だが金は失っても人質解放のときの緊張感が勝負だと刑事は狙っていた。

 いかつい肌黒の刑事がほっそりとした若い刑事に耳打ちする。「いいか、主があんなふうにいっているが本職はなにを優先すべきかわかるな」

「ええ、もちろん。逮捕です」

「そうだ」

 こそこそと刑事二人は陰鬱な影をさしながら、お互いの手柄のためにこの事件で出世を考えていた。

 

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