幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

探偵の眼・御影解宗の推理 【嘆きの双子】13

   2017年11月13日  

 翌日、言われたとおり銀行のATMの前にいた京介だった。

 時間が迫ってくるほどピリピリと緊張感に全身の血流が波打っていた。

 携帯電話が鳴った。警察関係や銀行員は警戒した。すぐにどこへ振り込んだかわかるようにシステムを監視していた。犯人もどこかからか監視しているかもしれない。

 送金終了。二億円が振り込まれてしまった。

 送金先の銀行は小さな町銀行だった。口座名義人は架空名義だったことはわかっていた。警察が銀行に電話するも、すでに口座から二億円が消えていた。というより別の銀行へ振り込まれていた。どこの支店でどこの口座へ振り込まれたのかをすぐに調べた。

 ひとつ経由して飛ばすとは警察も考えてもいなかった。

 犯人の一人がどこかのATMで操作しているのだ。それはすぐにはわからない。唐突なできごとのため銀行側も警察もパニックになっていた。

 これぞ後手にまわるということだ。リードは犯人がわにある。

 犯人Aは京介に携帯電話で話しているあいだに犯人Bは別の人物に携帯電話で話していた。

「振込みが終わった」と京介と話し終えた犯人A。

 犯人Bは携帯電話の相手に「振込みが終わった。確認後、すぐに振り込め」と命じた。

 とある場所のATM前には犯人Cがいるのかと思いきや四人目の人間だった。だがそれはまったく無関係な人物だった。

 犯人Bから携帯電話から指示をうけて架空名義の口座に振り込まれた金をさらに架空名義の口座に移すよう指示していた。

 その人物は無関係な学生だった。

 見た目少年であり、大人への知恵が備わりはじめ善悪の判断がつくくらいの年齢が妥当だった。

 物事の判断が一人ではぶれてしまうほどの年齢が対象だった。

「いうことを聞かないと、おまえの家族全員を殺す」とピストルを突きつけられながら脅迫されていた。

 家族を護るため指示どおり従えば自分の安否も救われる。犯人とは別の行動をとり、単独行動できる。監視もない。もし裏切れば犯人Cが携帯電話で射殺命令を待っている。家族に照準を合わせ引き金をひきたくうずうずしている。

 少年は血の惨劇の光景がみえていた。

 犯人Aはくすくすと笑っていた。

 なぜなら、とうぜんそんなのは、嘘だ。

 犯人Cは後部座席で運送会社を見張っていた。逃げることも警察に通報することもできない。未完成な年齢の対象者はただ従うしかなかった。脅迫されたから従うしかなかった。その判断ができる年齢が対象だった。協力したら共犯者になることもしらずに。

 人手が足りなかっただけの学生は助演者だった。

 その学生は銀行から出て、すぐに隣の銀行にはいった。その銀行が二度目の送金先の支店だった。調べるのに時間がかかる。その隙に金を引き出す。目的の場所で犯人グループと接触することになる。

 銀行員に疑いの視線を浴びながらもその助演男優は演じきった。

「パパからのおこづかい、いいでしょ、これから海外でバカンスだ」二億円の札束をバッグに詰めた。学生は金持ちを装って犯人から用意された台本のせりふをならべた。

 大根役者だったが、金をもってくることができればアカデミー賞ものだった。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
-, , ,


コメントを残す

おすすめ作品

見習い探偵と呼ばないで! Season12-3

天使のように、泣け [第2話]

見習い探偵と呼ばないで! Season20-22 END

生かすも殺すも匙加減④

見習い探偵と呼ばないで! Season12-9