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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

探偵の眼・御影解宗の推理 【嘆きの双子】13

   2017年11月13日  

 運転免許証を持っていたこともさいわいして学生は自動車で逃走した。

 犯人たちとそれから二時間かけてある場所で合流した。

 人気のない森林。風が葉音をこすりつけ、ステレオ感覚で耳障りにうるさかった。

 犯人Aは学生が詰め込んだバッグを受け取った。「よくやった」

 学生は安堵についたように溜め息を吐いた。パキッ、と枝が折れる音が背後からきこえた。

 そこには犯人Cが立っていた。学生は振り向いた、その瞬間に背中から乾いた音が二回鳴った。

「おい、殺すなよ」犯人Bの顔色は蒼白になった。

「協力して解放する予定だっただろ」犯人Cは、膝から崩れて倒れ息絶える青年の苦しみもがく顔は忘れそうにない。

 犯人Aは学生が犯人Cの存在に気づき振り向いたときにふところから黒光りした硬質な形状のものをだした。

「なんか、こいつの背中いい的にみえてさ、おもわず撃っちまった」

 犯人Aは残酷なまでにクールにいった。左手に持つ銃口から白煙が泳いでいた。

 BとCは学生の遺体を崖から落とした。

 学生が乗ってきた車から指紋を拭いそのまま放置した。

 三人は乗ってきた車で二億円のはいったバッグとともに消えていた。

 犯人は運送会社のワゴン車を乗り捨て、犯人Cが運転する乗用車でアジトに消えていった。

「見事に演じてくれた。助演男優賞まちがいなしだな」犯人Aはほそくえんだ。後部座席で喜悦している犯人Aだった。

「本人はもらえないでしょ」犯人Cはあきれ返っていた。

 大笑いする犯人Aの非情さに、のこりの二人は憤慨していた。

 誘拐は見事に成功。二億円をせしめ、幼い双子は両親のもとへ無事に帰ってきた。
 
 

≪つづく≫

 

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