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SF・ファンタジー・ホラー

ロボット育児日記38

   

 柏木満嗣。超エリートと言われる警察官。それが近くに居るというだけで、恐らく近いうちはこうなるだろうという予測は出来ていた。
 ナノマシーンに持たせたぬいぐるみに仕込んだ盗聴発信機が見つかり、あっけなく破壊されたが、それは予想の範囲だと言える。自分の正体も完全に裏付けされてしまったようなものだけれど、どうせ近いうちにまとめて一掃するつもりなので大した問題にしなくてもよいだろう。お陰で、あの警部の自宅の場所がわかっただけでも、大きな収穫だったといえる。
 自分は、早急にF区から撤退し、潜伏先のあるG区に入った。
 ここには、失踪後からずっと住居件研究所として使っている場所が存在しているから。
 元々G区は研究地区として発展した場所で、研究病院やその他多くの研究所が密集している地区であるから、身を隠すには好都合な場所だった。木を隠すには森の中、とはよく言ったものだ。
 場所が場所だけに、研究するための設備や資材も手に入りやすく、過ごしやすく、また研究者である人間も多く存在するので研究に集中することが出来たのも大きい。
 また、今となっては面白いことに。自分が開発した幼女型ナノマシーンの犠牲者が、研究のために次々と運ばれてきている。滑稽で、仕方ない。
 もう少ししたら、幼女型ナノマシーンに仕掛けた最後のプログラムを起動させ、機械共を一掃する。そして、人間としての人権やモラル、存在価値や居場所を取り戻す。
 機械は廃棄だ。人などではない。人が人として理解されなかったのと違って、自分は機械を機械として理解する。
 桜木霞、あの男には悪いが、今回の犯人になって自分の代わりに処刑されてもらう。
 この事件が機械共の恐怖の引き金となり、先の一掃に繋がる事を自分は考えている。
 幼女型ナノマシーン、2号機。これの完成まで、あと少し。
 2号機、ただただ破壊するだけの実験サンプルの1号機とは違い、本当の意味での完成品幼女型ナノマシーンである。
 桜木霞が処刑された後、篠山誠太が発表するのだ。医療タイプの幼女型ナノマシーンとして。コンピューターでいうところの、遠隔型セキュリティソフトである。2号機を連れていれば、ある程度のコンピューターウィルスのフィルターになるというプログラム付きで売り出す。今回の事件を恐れた機械共は、こぞって手に入れたがるだろうと。
 順調だ。
 
 

≪つづく≫

 

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