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SF・ファンタジー・ホラー

紅蓮の翼 5

   

思いの外早かった戒斉との対面。

何かを企んでいるだろうことは承知。

だからといって、
今の鴬伽にとっては
強行を試みることは不可能で。

供された神の水を呷ることくらいしか。

不定期に連載致します。

こちらにて初めての一般作品でございます。
こちらに関しては、
今後、一切の性描写も色恋沙汰もありませんので、あしからず。

 

 そのときは、意外と早く訪れた。

「鴬伽、今すぐ支度をしてくれないか」

 美羽を相手に今までに商隊で巡ってきた国々の話をしてやり、美羽のくるくると変わる表情を楽しげに眺めていたとき、やってきた青嵐は鴬伽に向かって言った。

「……3日か。意外と早かったな」

 自然と浮かぶ笑みを隠さず、鴬伽はゆっくりと籐の椅子から立ち上がる。
 美羽の前では基本的に寝間のまま過ごす鴬伽に青嵐はかすかに眉間に皺を寄せたが、鴬伽はまったく気にする様子もなく青嵐に近づいていった。

「……美羽、鴬伽に着替えを」
「はい……!」

 すると美羽も青嵐の声に反応し、急いで鴬伽の衣服の入った桑折へと走った。
 青嵐の──男の──前であるというのにまったく頓着しない鴬伽に苛立ったのか、青嵐は美羽を呼びつける。

「おいおい、自分の妹に当たるのはどうかと思うが?」

 怯えたような、今にも泣き出してしまいそうな美羽の表情を認め、鴬伽は苦笑しながらも、他人に肌を触らせたくないくせに、柔らかな布で作られ、体の線を流れる寝間にはまったく気にするでなく言った。

「この国では許されないことだ」
「あたしは気にしないけれど?」

 かすかに眦を吊り上げる青嵐に鴬伽は言った。

 

-SF・ファンタジー・ホラー


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