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ラブストーリー

渚-nagisa-(1)

   

80年代。とある港町にある『渚高校』を舞台に、個性豊かな面々がそれぞれの青春を駆け抜けてゆく物語です。

主人公の武藤タケルが高校二年生になり、クラス分けの掲示板を見るところから物語が始まります。

恋に勉強に、そしてそれぞれの悩みを乗り越えようと必死に頑張る登場人物たちと一緒になって、『渚高校』での学生生活をお楽しみください。

 

渚 第1話 桜の頃

「おい、タケル、早くクラス割りの掲示、見に行こうぜ!」

 去年同じクラスだった中村弘樹が、ボーっとしながら木を眺めていたタケルを肘で小突きながら合図を送った。

「ちょっと待ってよ……もう少し見ていたいんだ。この風景。なんかこの雰囲気すごく好きなんだよね。この景色を眺めていると、日本人に生まれて本当によかったって思えるんだ……」

 ピンクの衣装を身に纏った木の枝の間を、柔らかいそよ風がそっと吹きぬける。空へと楽しそうに舞い上がる花びら達をタケルは嬉しそうな表情で眺めていた。
 その花びらの一枚が、タケルの着ている学ランの肩へひらりと舞い降りる。タケルはその花びらを愛しそうに手に取ると、自分の手のひらに載せ、それをまた嬉しそうに眺めていた。

「桜の花びらを見ながらニヤニヤするなよ。傍から見たら変な人に見えるぞ。そんなんだから彼女もできないんだよ。俺らも今年から高二なんだからさ、彼女ぐらい欲しいよな……。おい、タケル! 人の話、聞いてるのか?」

 タケルは再びそよ風により舞い上がった桜の花びらを見上げながら、嬉しそうな表情をしている。

「お前、人が話しかけてるんだからさあ、ちゃんと聞いてくれないか? ほら、もうこんな時間だ。早くクラス分けを見に行かないと、俺たちはどのクラスなのか分からないまま体育館へ行かなきゃならなくなるぞ」

 弘樹が最近父親に買ってもらった黒い皮の腕時計を見ながらそう呟き、ボーっと桜を眺めているタケルの腕を引っ張りながら、クラス分けの貼り出されている掲示板の方へと急いで向かった。掲示板の前では、気の合った仲間と同じクラスになったことを喜び、手を握りながら飛び跳ねている女子の姿や、クラス分けを見るなり暗い表情を浮かべている男子の姿もあった。恐らく、嫌な奴と一緒のクラスになったのか、あるいは苦手な先生が担任になったかのどちらかだろう。

 タケルと弘樹は自分たちのクラスを知るために、人ごみを掻き分け、ようやく名前が確認できる程の場所まで辿り着いた。二人は自分たちの名前を探すために掲示板へと目をやった。一組から順を追って自分の名前を探し出す。どうやら一組には二人の名前はなかったようだ。

 

-ラブストーリー


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