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ラブストーリー

渚-nagisa-(2)

   

始業式を終えクラスに戻ったタケルは、今朝出会った水森ハルカという、少し浮いた存在の彼女の事を思っていた。
『好き』という思いではないのだが、どうしても彼女の事が気になるタケルは、親友の弘樹に水森ハルカについて何か知っている事がないか尋ねてみたのだが……。

 

第二話 待ち伏せ

「お前、どこに行ってたんだよ、心配してたんだぞ……」

 休憩時間。教室の窓から青空を眺めているタケルに、弘樹が後ろから話しかけた。だがタケルは弘樹の言葉には反応せずに、ただ空をじっと眺めていた。

 教室の中はいつもより賑やかだった。仲のよい友達と一緒になれたことに喜びながらはしゃいでいる女子のグループや、新たな友達を作るために、自ら進んで自己紹介をしている男子生徒もいる。また、新学期早々から周りの空気になじめず、自分の机で新しい教科書に目を通している女の子など、教室の中は新学期特有の空気に包まれていた。

「おい! いい加減人の話を聞けよ。こっちはずっと心配してたんだぞ」

 弘樹はそう言うと、タケルの背後から軽くお尻を蹴り上げた。

「ふぎゃあ!」

 奇妙な叫び声をあげながらタケルが振り返った。その声があまりにも大きかったので、ざわついていた教室が一瞬静まり返った。

「あっ。みんな、ごめん。何でもないんだ……」

 タケルのその一言により、教室内は先ほどのザワザワとした雰囲気に戻っていた。

「おい、タケル。俺はそんなに強く蹴ってないぞ……変な声を出すなよ。お前がそんな反応をすると思ってなかったからさ、何だか俺、とんでもないことを仕出かした気分になったじゃないかよ……」

 弘樹は鼻の頭を人差し指で掻きながら、ばつの悪そうな顔をしていた。

 

-ラブストーリー


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