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ラブストーリー

渚-nagisa-(3)

   

 木下純也の突然の申し出に戸惑うタケルと弘樹。まさか二人が姉弟だとは思っても見なかった二人は、純也からここにいたるまでの経緯を聞かされることになる。そこには、二人がまだ知らない、水森ハルカの意外な事実が隠されていたのだが……。

 

渚 第3話 対立

「でも名字が違うじゃないか……それに、姉って事は俺達よりも年上って事だよな。何か特別な理由があるとか……」

 弘樹は、足元で土下座をするように手を突いて頭を下げている純也に向かって尋ねた。純也は地面から手を離し、その場に正座するような形で身体を起こすと、タケルと弘樹を一見し、再び視線を地面に落とした。いつものように人を脅かすようなきつい口調ではない、落着いた口調で語り始めた。

「うちの両親は3年前に離婚したんだ……。親父の度重なるお袋への暴力が原因でさ。半分逃げ出すような形で家を出て行った。姉貴を一緒に連れてな。親父があんなだし、俺もその頃は怖いもの知らずで暴れまくっていた時期だったからな……お袋は家庭を壊す原因を作った、俺や親父の事を未だに恨んでいるんだ……」

 二人は純也の話を聞きながら、以前、純也が起こしたある事件の事を思い出していた。二人が中学三年になろうかという時期の話である。
 タケル達が住んでいる渚町には二つの中学校があった。
 タケルと弘樹が通っていた渚北中学校と純也が通っていた渚南中学校である。
 
 同じ町に中学校が二つしかないということで、北中と南中は昔から色々と対立する事が多く、何かしらの因縁をつけては生徒間で喧嘩をすることが日常化していた。

 北中を仕切る松山茂と南中を仕切る木下純也は親の代からの因縁があり、その因縁が子供達の代まで受け継がれていた。二人は仕切っていた時期は、例年になく喧嘩の多い年だった。

 松山茂と木下純也の父親は、代々、土建屋を営んでいた。

 小さな渚町において、土木関係の仕事が発注された時には、必ずこの二つの土建屋のうちのどちらかが工事を請け負う事となる。なのでこの二つの家は、お互いを目の上のたんこぶと思っている節があり、仕事に関しては常に対立関係にあった。

 

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