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SF・ファンタジー・ホラー

ロボット育児日記42

   

 昨日まで、平和だったのに。
「どうか、ウサ子を助けてください」
 俺には、これしか言えなかった。

 SFラブコメ!

 

 怖い答えだった。
「ウサ子ちゃんそのものが、そのナノマシーンです」
「篠山を逮捕するわよ」
「彼は誰より優れた研究者です。道を誤わなければ、英雄にすらなれる本物の天才だ。彼を、改心させて英雄にする事を、私は望みます」
「彼がそれを望むかどうかよ」
「直ぐに、捕まえますか? そして、報道しますか?」
「先ずは、話をしてみたいわ。逮捕は免れないけど、処分はそれからよ」
 暫くの沈黙の中、丹波さんは立ち上がった。
「篠山を呼んできます。彼は、この事を知りませんから」
「あの、ウサ子は……?」
「今のままでは、お返しする事が出来ません。ウサ子ちゃんをなんとか出来るのは、篠山だけです。私には、力がなく。申し訳ない」
 丹波さんの声に表情はなかった。きっとこの件はまだ、丹波さんと俺達しか知りえないのだろう。
 丹波さんは、部屋を出た。
「満嗣さん」
「予想外の展開ね、正直私も困ってるわ 」
「ウサ子を……」
「ウサちゃんを助けるのは、私も最優先だと思ってる。けど、あの子そのものがナノマシーンだなんて……」
 その先の言葉が見つからないのは、俺も同じだった。
 1時間くらい待ったと思う。
 部屋に篠山さんと丹波さんが現れた。
「あ! 桜木さんでは無いですか」
 篠山さんは、少し動揺したような素振りを見せたが、何食わぬ顔で会話を始めた。
「どうされたんです? というより、よく私の勤め先がわかりましたね。話があると、丹波さんから言われて来たんですが、まさか貴方達でしたとは」
「篠山さん、お勤めご苦労様です。凄い人だったんですね」
 何を言っていいかわからず、天気がいいですね、みたいな事しか言えない俺。満嗣さんは、俺の前に手を翳した。少し黙っていなさい、の合図だと思った。
「篠山太一は、既に亡くなってるわ。篠山誠太、よく誤魔化しきれると思ったわね」
 満嗣さんの挑発にも似た発言に、篠山さんは動じなかった。
「けれど、事実騙されていたでしょう。今の今まで。やっと見つけてくれましたか」
「あんた、わざとやってたの?」
「ええ、勿論」
「何のために?」
「さあ? かくれんぼみたいなもんですよ」
「あんた……舐めんじゃないわよ」
「舐めてなんかいませんよ、失敬ですね。ただね、私だって暫く隠れていたんですから、少し楽しみたかったんですよ。ところで、ママのご気分はどうですか? いいものでしょう」

 

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