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ノンジャンル

needless mind-first impulse-

   

バンドが、やりたい。

理屈じゃない。本能レベルで、俺はそれを求めてるんだ。
何時でもない、今。

※KNOWSシリーズ過去編。真哉視点。
 メンバーの出会いからNO FACE KNOWS結成まで。

 

 不必要なもの、全部振り捨てて。始めるんだ、今。すぐに。
―――needless mind―――

「バンド、やりてぇなぁ」
 ぽつりと呟いたのは、受験を間近に控えた中三の冬のことだった。
「何、いきなり。そりゃあできればいいけど僕ら今受験生だよ?」
 そう言う修平は、つい最近念願のギターを手に入れて一週間で父親にネックを折られたうえに、自分のランクより偏差値の高い高校への合格を厳命されたばかりだった。―――受験勉強そっちのけでギターばかりいじっていたんだから自業自得だろう。合掌
 現在は柄にもなく眼鏡なんかかけて、すっかり受験生モードだ。黙っていれば秀才に見えなくもない。・・・あくまでも黙っていれば、だが。
「そういう問題じゃねんだよ。重要なのはやりたいかやりたくないか、だろ?」
 そんな理屈なんてどうでもいい。動機があれば十分、なんだ。ただ、衝動だけで。
「何、俺ら誘ってんの?俺は有工だからいいけどお前ら陵明狙いだろ。オベンキョーはいいのかよ」
 試すように言ったのは透。あーもー、何で水差すようなこと言うかなっ!
「ちっがうだろっ!バンドなんてのはやりたいと思った時にやらなきゃ意味ないんだ、今を逃したら結局ずっとこのままなんだ。お前らだってわかってんだろ、本当は」

 ああ、わかってる。本当は、ずっとわかってたんだ。
 俺の中でくすぶってる火種が、今にも弾けそうなくらいに膨んでて。早く、早く。今やらないと、いつか暴発してしまうから。
「っあー、いちいち正論吐きやがるからムカつくわ、お前」
「僕のギター、親父にネック折られたばっかなんだけど。陵明落ちたら、マジでゴミに出されるって」
 そんくらいで、そんなもんで諦めきれんのかよ?お前ら。今、バンドをやりたいかやりたくないか。重要なのはそこだけだ。
「お前らが何と言おうと俺はやる!バンドやって、そんで陵明も受かる。そうすりゃ親も文句は言わねぇ」
 そう簡単に言わないでよ、って修平は言うけど。
 ほんとに出来んのかよ、なんて透は笑ってるけど。
 2人とも、とっくに覚悟決めたような、そんな表情してるから。説得力ねぇよ。

 俺らはまだ、どうしようもなくガキで。
 出来ることなんて、ホントに限られてるけど。
 ・・・・だからって、諦めたくは、無いんだ。

 この、衝動を、突き上げてくる想い、何でもいい。愛とか希望とか絶望とか憎しみとか喜び、悲しみ、全部ぶち込んで。
 今。
 盗んだバイクで走り出したり、校舎の窓ガラス割って歩くなんて、趣味じゃないから。
 全部ぶちまけて、楽になりたいんだ。
 眼を覚ませ。

 眼を覚ませ。

 ほら、聴こえるだろ?
 すぐそこに。手が届く場所に。
 きっと、あるんだ。あの音が。

 

-ノンジャンル

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