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ハートフル

モモヨ文具店 開店中<最終回> ~モモヨ文具店とかふぇ みょうが~

   

 
 直くんの昼は、工房から一旦上がってからゆっくり二時間。
 このときニュースもついでに仕入れておく。ファッション誌もブランド雑誌もよく読むようになった。「今」ではなく「これから」の形で仕事をしようとするとき、どうしても必要になってくるのを痛感した。
 昼はかりかりに焼いたトーストにたっぷりの苺ジャム。それから熱くて苦いコーヒー。
 作業をしているときはどうしても頭を使う。甘い物を摂らないと脳疲労と身体の疲れが飛ばないのだ。
 四枚切りのトーストを食べながら、雑誌をチェック。甘さと苦さで作業の疲れが癒える。
 そこへ照穂町の峰岸さんから電話が。
 豪雪地帯にわざわざ来てくれたのが気に入ってくれたらしく、なにかと連絡が来る。今回は子どものための新しい文具を、だった。峰岸さんはネットで町おこしSNSをやっていて、新しい文具にも興味を持ってくれている。そこで子どもが好きそうな物を見つけたという。
 直くんもスマホで同じ商品をチェックする。たしかにウケそうだ。ただ、女の子向きでしょうと返すと、男の子用のもなにかありますか? とのこと。
 慌ててデータログをチェックして二、三品見つけ、峰岸さんにデータ送る。
 こりゃあいいですわ。悪ガキどもが喜びます。
 仕入れの段取りを始める。照穂町へ行く日程を決める。
 こうして昼は過ぎていき、午後は文具自販機補充に車を駆る。
 

 綾乃さんの夜は、最近、いつも同じ言葉で始まる。
 今日、ここで寝ていってもいいでしょうか? 仕上がってないので家に帰るのが辛くて。
 根を詰める言い訳にユージさんはダメを出し、哲多さんは洗濯と料理が済んだ部屋に綾乃さんを送り届ける。
 スポーツドリンクしか飲んでない綾乃さんの身体は女性の哲多さんでも軽い。
 注意をしても無駄だから、せめて家に帰らせないと。できれば一緒にご飯を食べてやってくれないかと上司のユージさんに言われた哲多さんは、綾乃さんとご飯を共にする。
 無言の食事ほど不味い物はない。綾乃さんは沈痛な面持ちで、死にかけている。ご飯もほとんど食べない。
 そのとき、ぴろりんとスマホに着信があった。
 綾乃さんの顔が喜びでとろける。
 

 

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