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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

探偵の眼・御影解宗の推理 【嘆きの双子】19

   

 一年後、成人をむかえた京介、美咲、美幸の三人は社会の秩序の渦中へ引きずりこまれていった。

 京介と美咲は結婚した。京介は学生結婚だが、学業をやりながら家業も学んでいった。将来頭取になるためしかたのない鍛錬だった。

 二人のあいだに子供が生まれた。やはり双子だった。双子の親からは双子が産まれるとはきいたことがあった。確率からして可能性は高いとみていた。やはり産まれた。

 パンダみたいにかわいい。二卵性のようで男子と女子だった。

 男の子は陽太。
 女の子は美姫。

 と名づけた。

 近くに屋敷を建築させた。特殊な隠し部屋がいくつもある。

「子供が喜ぶ家にしたかったから」京介は大工や建築家にそう注文した。「この家、おもしろいだろ」

 美咲は多少首を傾げるが、まぁ、いいですよと苦笑いして答えた。

 子供たちを中にいれ新生活が開始する。
 
 

 美幸のすがたが見えなくなって京介は寂しくなった。だが、しかたがない。美咲と京介を恨んで出ていってしまった。この町を、この故郷を。

 京介が家族や親戚にそう伝えた。足取りも不明で海外に永住したとか、都会にでてからはどこかの男と店を構えているとか、噂が流れても消息はつかめなかった。

 染野の両親は言っていた。

 京介と美咲は美幸の行方を心配していたが手をまわすつもりはなかった。孫がかわいくてもうどうでもよくなっていた。

 ついに染野の家系は美幸のことは愛想をつかせた。たまに手紙だけはとどくといっていた。

 そこからは現状の報告以外の手がかりはなかった。警察や探偵に調べさせたらもしかしたら行き先はたどれるかもしれない。しかし、そんなことをして城里家の名に傷や恥をかかせるわけにはいかない。

 まったくもって遺憾であり、どうしようもないとあきらめていた。

 城里家には、家族のほかに住み込みで執事と家政婦が数名ずつ働いてる。

 |古我(こが) |幸治(こうじ)が35歳のときに城里家で唐突に雇われていた。穏やかで静かな口調で話す紳士。

 その一年後、|長柄(ながら) |外美子(とみこ)が38歳のときに城里家の家政婦として勤めた。

 城里家の本家で家政婦と執事は行き来していたが、長柄と古我は京介宅に専属で勤務についていた。

 子供たちの成長をみながら15年が過ぎて、氷室探偵事務所に一通の封書が届いたのだった。

 

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