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SF・ファンタジー・ホラー

アストラジルド~亡国を継ぐ者~アグランド編 第36話「告白の時」

   

 
「シアン! 何するの!」
エリザ……ちゃん?
「え……?」

 聞き覚えのある声で名を呼ばれ、私はシアンを押し退けて前へ出た。そして、そのと視線が絡む。

「ナ、ナナさん……マーロンさん……」

 会いに行こうとしていた彼女達を前に、私は立ち尽くした。いつもより表情が暗く感じるのは、私がそう思い込んでいるからだろうか。
 重たい空気が流れて、私から思考回路を奪っていく。

「わ、私……――――」
「エリザちゃん、家へいらっしゃいな」
「えっ?」

 ナナが微笑みながらそう言った。一瞬、彼女が何を言っているのか理解が出来ずに固まる。

「久し振りにお話ししましょう。そちらの彼もご一緒に」
「あ? 俺?」
「あら……そういえばあなた、どことなく長に似てるわね……」

 マーロンのその言葉に唾を飲み込んで、私は口を開いた。

「彼は長殿の息子です」
「え!? 行方不明だったっていう、あの!?」
「まあよかったわ……! スウェナも喜んだでしょうねぇ!」
「……どうも」

 シアンは面倒そうに言葉を返した。

「さあ、エリザちゃん」
「……はい」

 私はシアンの手を握って、歩き出した。
 ナナとマーロンは変わらず微笑んでくれる。だが、その優しさに甘えてしまっているようで耐えられない。
 

 彼女達の家の前に着いてからも、私はまともに顔を上げることが出来ず、俯き続けた。

「どうしたの? 着いたわよ?」
「エリザちゃん……?」

 シアンは何も言わず、震える私の手を握り続けていた。その手をゆっくり離すと、私はやっと顔を上げた。

「だめです」

 やはり幾ら考えてもおかしい。あんなことをしておいて、彼女達の家に足を踏み入れることなど許されない。私は招かれていい存在ではないはずだ。

「……私は、入れません」

 私の握り締めた拳に気がついたのか、ナナが切なそうに眉を寄せた。
 

 

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