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アストラジルド~亡国を継ぐ者~アグランド編 第36話「告白の時」

   

 
「ごめんなさい。私はあなた達に嘘を吐きました。正体を隠して、カーネット王国について尋ねてしまったあの瞬間から、私は……お二人を騙していたんです……!」

 ルイスからもらったペンダントを握り締めて、告白した。

「民を守るどころか、国を守ることすら出来なかった情けない王女です。あなた達にあんな……優しい言葉をかけてもらう資格はありません」

 そこまで口にしてから、私は地面に膝をついた。心からの謝罪の意味を込めて、冷たい地面に座り込む。そんな私を見て、ナナとマーロンは目を見開いた。私のその姿を見て手を出そうとしたシアンを手を上げて制止する。

「シアン、約束を違えるつもり?」
「ッ、くそッ」
「……ありがとう。ごめんね」

 シアンは私のこんな姿は見たくないだろう。悪いことをしてしまった。
 私は手を下げると、彼女達に向かい頭を下げる。

「お許しを」
「や、やめてエリザちゃんっ」
「こんな……こんなことしてほしいわけじゃ……!」
「わかっていますッ! でも……!」

 そう叫んで、涙を散らす。
 
「今の私には謝ることしか出来ないっ」

 膝の上で握り締めた拳が音を立てた。

「王国が在った頃、兄様は私にとっての全てでした。彼を生かす為に私は生き延びました。そのすぐ後ろで民に危険が迫っていたのに……私は、泣いてばかりだった。何も出来なかった。兄様以外の誰かの命を目の前で失うことが、こんなにも苦しく恐ろしいことだとは思わなかったの」

 ルイスは無力だった私とは違う。あの人はいつも一人きりで戦っていた。それがどれだけ恐ろしいことか、今ならわかる。

「どんなに辛くても、どんなに悔しくても、兄様は一度も泣き言を口にしなかった……。あの人はいつも民のことを考えていました。彼は逃げずに戦ったんです。私がいたせいで城を離れはしたけれど、国を捨てたわけではありませんッ! 信じてくれなくてもいい。それでもいいから、カーネットという国に王子がいたことを忘れないで……!」

 優しく、寂しいあの王子を誰にも恨んでほしくない。最後に見せた彼の涙が、今でも私の胸を締めつける。この感情が間違いだったとしても、あの瞬間、確かに私はルイスを愛していた。

 愛する人の為。救ってくれた皆の為。民の未来の為。ほんの一瞬でも誰かを幸せに出来るなら、それだけで私がここに在る理由になる。

「――――いつか、あなた達が胸を張って『カーネット人』だと言える世界を私が取り戻します。そして、全てが終わったその時は……私が王家を代表して、
「それ……ど、どういうことなの……?」
「…………」
「エリザちゃんっ」
「民の手で、終わろうと思います」

 それが私の償いだ。
 
 

≪つづく≫

 

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