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ノンジャンル

needless mind-second mission-

   

生徒指導室。
俺だけでも口八丁で切り抜ける自信はあったのに、父さんのせいで話がややこしいことになってんだけど。

まぁ、無事(?)切り抜けたら、今度こそ本題。
バンド、ちゃんとやるために、どうすればいいのか。
動く。

※KNOWSシリーズ過去編。真哉視点。
 メンバーの出会いからNO FACE KNOWS結成まで。

 

「それで、うちの息子が何をしたんですか?」
 ビジネススーツでかっちり決めた父親が、にっこり笑いながら小川に言う。
 それが表面だけの笑顔だってのは、考えるまでも無く間違いない。
 それが通じたのだろう、目の前の先生達の顔が引きつった。
「・・・・おたくの息子さんなんですがね。学生に相応しい髪の色というのを理解していないようなので、こうして呼び出したんです。きちんとした色に染め直すよう、ご家庭のほうでもしっかり指導していただきたい」
 それでも流石といおうか、父さんがあんまり若いからってなめてかかったのか、小川センセイは横柄な口調でのたまってくれた。・・・・知らないぞ、俺は。
「そうですか・・・・髪の色、ね」
 父さんの目が細くなる。
『ディー。こいつシメていい?』
『・・・・本気じゃないよね?』
『流石に俺だって、いきなり殴りかかったりしねぇよ』
 俺を挟んで交わされる、物騒なスラング交じりの英会話・・・・無駄だと思ったのか、母さんは特に止め立てもしない。
父さんは、小川みたいなタイプが大のつくほど嫌いなんだよな・・・・
「先生。学生に相応しい髪の色、というのは具体的にどのような?私には分かりかねますが」
「だ、だからその金髪ですよ!そんな明るい髪の色を許せば、他の生徒に示しがつかないんでね」
「なるほど、そちらはこいつの髪の色が気に食わないと。私と妻もこちらの卒業生なんですがね。あれから校則が変わってなければ、髪型はあまりにも目に余る加工をしていなければ自由だったと思うのですが。うちの子の場合、真っ黒に染めるほうが立派な『加工』になるんで、そっちの方がより校則には違反してると思うんですよね」
 よくもまぁ、いけしゃあしゃあと。
 実際、黒く染めた所で伸びたそばから茶色く戻ってくんだから、あながち間違っちゃいないけど。
「そういう問題じゃなくてですね・・・・!」
「どういう問題ですか?それなら先生は、生まれつき目が青い生徒には黒のカラーコンタクトを入れろとでも言うつもりですか?常々思うんですがね、いくら日本人の基本が黒髪黒目だからといって、全てをその枠に嵌めて考えていてはこれからの国際社会を乗り越えていく人材は育ちませんよ」
 ・・・・おいおい、話題が摩り替わってるよ・・・・
 煙に巻こうとしてるのかもしれないけど。
「裕弥、話題がずれてる。・・・・すみません、先生。私がハーフなもので、やっぱりどうしても子供たちも色素が薄くなって。特に髪や目の色は昔からいろいろ言われて・・・・わかりますでしょう?子供は異端に敏感ですから」
「は、はぁ・・・・」
「この子の弟も私に似て瞳が青くて、いろいろ言われるものですから。どうしても、注意されると反発してしまうんです」
 許してやってくださいね、なんて微笑みかけられて、小川はどことなく頬を染めながら無言で頷いた。・・・・言っておくが、俺の母親は2児の子持ちだ。言わないけど。
 俺の隣で、父さんの小川を見る目が一気に絶対零度まで下がったのを感じた。
 ブリザードなんてもんじゃない。マジで。それに気づかない小川はある意味幸せだと思う・・・・
 空気を読んだのか、それまでいつ割り込もうかとハラハラしていた指導部教員が、ぽんと小川の肩を叩いた。
「先生。本庄に関しては、きちんと地毛証明も発行するということでこの場は収めましょう。お母様がハーフなら、何もおかしな事はないでしょう。ね?」
 本当にしぶしぶ、って感じに小川が頷いて、なんとか一件落着、か?
「本庄君、余計な疑いをかけて申し訳なかったね」
「いえ、慣れてますので。分かってもらえればいいんです」
 なんて、殊勝な発言。しゃーねーじゃん、世渡りのコツって奴だ。
 母さんの方を見たままの小川には一瞥もくれないで、指導教諭の先生にお辞儀をして指導室を出た。

 

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