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歴史・時代

生克五霊獣-改-

   

 富子は、法眼が2年程前に旅先で知り合った娘であった。朽ち果てた土地に、人柱のように祀られた、人神であった。
 法眼が度重なる村の災難の為、多大な力遣い、身体を壊したのが始まりであった。
 今の福岡の辺りの山奥に、身体によい薬草の生える温泉がある村があると、星が示したからだった。
 星の示した通り進むと、1週間程でその村に着いた。
 村人は数える程しかいない、澱んだ土地であったが、薬草と温泉は本物だった。法眼の体力は、みるみるうちに回復していった。
『この土地は、何故このようになってしまったのだ?』
 法眼が尋ねると、富子は答えた。
『鬼に荒らされまして』
『鬼、と?』
『はい、今は私が封印致しております』
 この娘の力は強いものだと悟った法眼であったが、まだ若いこの娘が1人この土地に縛り付けられ、この世を終えねばならぬのかと考えると、酷く胸が痛んだ。
『何かのご縁だ。ワシが鬼をなんとかしよう』
 法眼は、娘の為にその村に祠を立て、娘の代わりに鬼を封じるための柱とした。
 聞けば娘には、行く宛も身よりも無いという。娘のその力を信じた法眼は、娘を傍に置く事に決めた。
 最初は、助手という立場であった。しかし、法眼も年頃である。妻を貰うにも普通の者には、つとまらない。
 そして、その時期不幸な出来事が起きた。法眼の家、即ち恵慈えじ家と代々契を結び続けていた家系である藤緒が、法力を持って産まれて来なかった事がわかった。
 何たる事かと、星に聞けば、恵慈家を揺るがす大惨事の予兆だという。
 そこで、災いを鎮る為の手段として、富子と藤緒を妻に迎えることにしたのだった。
 しかし、代々正当な家系であったとしても力の無い藤緒が後継者となるには難しく、富子を正室、藤緒を側室にする他なかった。
 更に不幸は重なる。
 藤緒の家系である男児が、全て不審な死を遂げて耐えてしまった。
 この事態に、法眼は頭を抱えるしかなかったのだ。
 だが、神は見捨てなかったのだろうか。
 この度、正室と側室にそれぞれ男女が産まれた。
 気味が悪いといえば、それまでかもしれないが、同時に産まれた男女には産まれて直ぐ婚約が交わされた。
 ただ、この時点で交わされただけである。
 そして、星は再び不吉な未来を暗示した。
 星は富子に闇を示し、同時に藤緒を光と示した。
 何をあらわすのか……。
 
 

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生克五霊獣-改- 第1話第2話第3話

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