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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

探偵の眼・御影解宗の推理 【嘆きの双子】20

   

 城里家の歴史は奥深く、京介のせいで遊びがすぎて隠匿しないとならない事象が生じた。

 御影は幼少の頃の陽太、美姫の写真が二枚あることに違和感を抱く。

 それについて解き聞かせる。すると城里家の家系図を輪都のパソコンから映し出した。

 京介は驚いた。明るみにならないはずの真相の家系図が本物だったからだ。

 ある人から借りた、と御影は話す。

 それは京介と美咲が、城里家の嘘を証明してくれる家系図だった。

 

 棚にある写真を御影は手にとってじっと見つめた。

「この屋敷に代々つたわる頭首の写真が飾ってありますね」

 京介と美咲はうなずいた。

「客間の写真、あれもそうですけど…、その後の陽太さんと美姫さんの成長した写真がないのはなぜですか」

 二人は無言になった。なにか痛いところをつかれたように目をそむける。

「まあいいでしょう。ご自分たちからいってもらいたいことですが、いいましょう」御影の口調は探偵がでてくる推理小説さながらに誇張している。「輪都…」

 輪都は名をよばれたが首をかしげていた。サポート役が打ち合わせもしっかりとしていたというのにこのていたらく、嘆きたいのは探偵だった。

「おい、しっかりしろ、段取りについてこいよ」

「それって昨日の話しですよね。忘れましたよ」ふきだしながら輪都は悪びれることなくいった。

「ちゃんとノートパソコンにデータ保存したな、この屋敷の“家系図”」

 京介と美咲は、その単語が探偵のくちからでて狼狽している。

「はやくだせよな、たくっ…、すみません」

 御影は城里家の家系図をノートパソコンに取り込み、その画像を映し出した。

「どこからそれを」京介は明らかに顔色を変えた。

「これは町医者の“十河医院”から借りたものです」

 家系図は初代から代々の名が綴られ、途中で妻と対になりその下に子供たちが記されている。

 由緒ある家系にはよくある形式のようなものだろう。

 最後の名前の欄で目がとまる。京介と美咲の下に名前がある。ご子息の双子だ。

 陽太、美姫、と書かれている。なにもおかしなことはないようにみえる。

 よくみれば美幸の名が。そしてその下にもふたつの名前がある。

 京介を挟み、美咲と美幸の名が両脇に記されていた。美幸と京介の間に線が下にのびている。それがまだなにを意味しているか、パソコンの画面を下へスクロールしなければみえないが、輪都がそこまで気をまわしていない。

 御影もまだ答えをみせないように意図して伏せている。

「十河医院で話をしてもらったのは、十河とがわ 広志ひろし、現在40歳の方です。陽太さん、美姫さんとは関係ないが、“先代”がおこなった罪をどこかで黙認している自分自身を咎めている。だからこんかい協力してもらえた。十河とがわ 高弘たかひろ、現在70歳の十河医院の院長で広志さんの父だ。だが、このひとは城里家頭首、京介さん、あなたからとんでもないことを持ちかけられたといっていた。と話してましたよ──」

 氷室はじっとその推理を聞いていた。小柴も御影が探偵として目を瞠るほどに成長していたことに静かに見守っていた。

「あなたは以前、こんなことをいっていた。“染野の双子の娘を嫁にするときはどっちでもいい”とね」

「それは染野の父親がいっていたことだ。私の本心ではない」

「だけど、あなたはその言葉をどこか遊び感覚で実践しようとした。二人への過剰なまでの愛情によって。そしてどちらもえらべず、どちらも欲するようになった」

「なにをバカなことを──」

「なら、この家系図はどういうことだ。この矛盾がおかしなことになっている」

 御影はそういうとノートパソコンの画面を下にスクロールする。城里家の家系図が映し出されているが、隠れていた京介と美幸の間の線の下が露わになった。

 幸太

 美香

 

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