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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

探偵の眼・御影解宗の推理 【嘆きの双子】20

   

 これまで黙して見守っていた氷室が静かに口を開いた。

「なるほど、主の京介さんはそんなことを、まるで一生をかけての人生ゲームをしているようだ──」

 御影が呼応するようにうなずいた。「京介さんたちは現実にしたんです。幼いときからしていたゲームを三人は二十歳の誕生日のとき実践した。きっと美咲さんや美幸さんはこういう結末になることを願ってはいなかったかもしれない。でも、京介さんは良識に反して若かりしの過ちを、財閥の力を使って隠匿した。美咲さんと美幸さんを両方とも愛してしまい…、誕生日ですか…、そ、その夜、二人を…抱いてー、し、し、し、しまった」

 氷室は目を細めながら一瞥した。御影の青い未熟な精神面がここで顔をだした。

「まったく、ひじょうになりたまえ、推理するときは“きみが主役”なんだぞ」

 御影は唇を結んだ。

「それが御影くんの弱点でもあります」小柴が平然と情けない面を指摘した。

 この二人のように冷徹に相手を追い込むこともまた探偵としての非情さかもしれない。

 御影はこのあとにでる言葉を躊躇うかのように口篭もっただけなのだ。

「そして、ここが大問題だ──。この小さき棺桶にはいっているのは美咲さん、あなたのお子さんの“陽太さんと美姫さん”だ。そしてそこにいる二人こそ、美幸さんのお子さんの“幸太さんと美香さん”だ」

 静まり返る地下室の空気はどんどん淀んでいく。重苦しい空気が肺を圧迫して錆びつかせ命を奪いそうなほどに。

 ひきつけをおこしそうな美咲だった。呼吸困難にでもなったら一大事だが、性根はずぶとい活発な娘だったひとだ。このくらいじゃひっくり返ったりしないだろう。

「あなたたち双子はどうなんですか、おぼえてますか」

 御影の問いにうつむいて微動だにしないのは双子だった。

 無言だった。声をだそうにもだせない。いつ、どこで、自分たちの名が変わったのか、うるおぼえではっきりはわからない。その記憶が不確かじゃないから考えただけでパニックを起こすのだろう。

「京介さん、美咲さん」御影は二人の顔を見ながら名前をよんだ。「ほんとうは15年前の誘拐事件、子どもたちは殺されていたんじゃないんですか?」

 その疑問に、はっとさせられたのは、若い双子だった。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
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