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SF・ファンタジー・ホラー

生克五霊獣-改-2

   

 恵慈家に降りかかろうとする災いの影。
 だが、それがはっきりしないまま、恵慈家に生まれた男女は元服を迎えるのだが……。

 パラレル伝奇時代モノ!

 

 富子も法眼も血を与えたが、その力が晴明に宿ることはなかった。その代わり、晴明の振るう剣に、僅かながらその名残が表れる程度。
 それでは、話にならない。
 法眼が言わずとも、屋敷を始め村中で、次の当主は葛葉だと噂が広まり、時には嘆願書までが提出される事態となった。
 さて、この事態に、心底面白くないと思うのは富子である。
 法眼のはからいでこの屋敷に嫁いでこられ、なれるはずなかった正室の座を幸運にも手に入れた。それだけで満足できる訳でないのは、人間の性質である。欲が出た。我が息子に、後継者の座を与えたい、と。
 富子は藤緒が許せなかった。側妻であり、産んだのが娘でありながら、恵慈家を手に入れると。惨めな思いをする息子が可哀想で堪らなかった。
「葛葉を次期後継者にするおつもりですか?」
 法眼は、渋い顔をした。
「あれは、女子じゃ。そうしたくても、そうは出来ん。だから、2人が産まれた時、2人を夫婦にしようと考えておったのだ」
「表向き、晴明が継ぐと言うことでしょうか? それでも、真の後継者は葛葉という事では?」
「何故、そうヒステリックに、悲観的に物事を考えるのだ」
 あの娘さえ産まれなければ、晴明がこんな惨めな思いをする事はなかったと思うと腹立だしくてしょうがない。
 葛葉のお陰で当主になれるという、これ以上の屈辱は無いと、富子は唇を噛んだ。
「これでは、あまりにも晴明が不憫でなりません。葛葉の行為を、お止めください」
 そう言うと、富子は一旦席を外した。
 あの娘を消し去りたい、亡きものにしたい、藤緒も共に消えればいい。どうせ無くなる家系なのだから。
 法眼は、葛葉に医者としての行為を止めさせた。不審な影を抑えるために、がっかりする葛葉には、ほとぼりが冷めるまでと告げた。葛葉は、父の事も大好きだったから、困っている父の為ならと、承諾した。

 

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生克五霊獣-改- 第1話第2話第3話

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