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ラブストーリー

渚-nagisa-(7)

   

弘樹の汚名を返上すべく、球技大会での弘樹の活躍を目論むタケルは、放課後、グラウンドの隅に佇んでいた。
野球部の練習が終わり、部員達が後片付けをしている横で、今回、弘樹を特訓するための特別コーチがウォーミングアップを始めていたのだが……。

 

第7話 特訓

 タケルと弘樹は放課後、グラウンドの隅に立っていた。
 その日の朝の曇天とはうって変わり、昼過ぎからは春の日差しが教室全体を暖めるほどの良い天気になっていた。

 4月も中頃になってくると、冬の時期に比べ、日が落ちる時間は遅くなっていた。午後5時を知らせる学校のチャイムが、夕日が差し込むグラウンドに鳴り響いていた。
 つい先程まで、厳しい練習を続けていた野球部員達は、通称トンボと言われる整地用の道具を使い、練習によってできたデコボコを平らにならしていた。

 新入部員達はグラウンドのあちこちに飛んでいったボールを必死になって捜していた。そんなどこの高校にでもある青春の一ページを眺めながら、弘樹は呆然とその場に立ち尽くしていた。

「なあ、タケル。こんな時間から一体何を始めようってんだよ。もう野球部も練習を終えて帰る支度をしてるじゃないか……。それにもうすぐ日も落ちて暗くなってくるっていうのに……」

 弘樹は野球部員の作業を眺めながら、タケルに尋ねた。

「何って……野球の練習に決まってるじゃないか。今度の球技大会で活躍していいところを見せないと、お前の汚点……いや、お前の悪いイメージが拭えないじゃないか」

 タケルは弘樹の右肩をポンと叩き、にっこりと微笑んだ。

「……球技大会で活躍するために特訓をしようとしていることは分ったよ……。でも何で木下がここにいるんだよ……」

 そう言った弘樹から二十メートルほど離れた場所で、純也は壁に向かいボールを投げ、なにやらウォーミングアップのような事を始めていた。

 

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