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SF・ファンタジー・ホラー

マスクエリア 第五覆面特区〜二章 崩壊の足音(5)

   

決死の覚悟で、奇襲作戦に打って出た新月。しかし、見事な武器の扱いを見せてもなお、新月の得物であるトンファーの攻め手をことごとく防ぐようにアレンジされた敵を全滅させるには至らず、力の強大さを象徴しているかのような武器を持つ敵によって、逆に窮地に追い込まれてしまう。
絶体絶命のピンチに陥った新月が見た、意外な人物の姿とは……?

 

 揃いの軍服を着ている敵の動きが止まった。男たちの体が、皆一様にびくりと震え、固まった。予期せぬ敵の出現に驚いた証拠である。武器が届かない遠い距離でも、新月の目には、相手の動揺がはっきりと映った。
(ここからっ)
 脳が戦闘モードに入ったためか、急速にスピードを増す心拍の音を聞き取りながら、新月は思い切り飛び上った。右斜め前方に。耳を揺する、ごう、という風切り音がさらに大きくなり、みるみるうちに視界に壁が迫ってくる。ほとんど直立した状態から、足を前に向けてやると、軽い衝撃と冷たい感触が足の裏を撫でた。
 新月は、腿に力を入れ、壁を足がかりに、今度は上方へと飛び上がった。空中でほんの少しだけ上体をたたみ、反転させてやると、地上で立ち尽くしている十名ほどの男たちの姿が目に入った。どうやら、新月の動きに全く対応できていないらしい。

 

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