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ラブストーリー

渚-nagisa-(8)

   

水森ハルカが落とした生徒手帳には、意味深なメモが記されていた。

『4月11日の14時、喫茶店にて』

 駅前の喫茶店で何が起こるのか? それを確かめるべく授業中に学校を抜け出したタケルと純也は、駅前のラーメン屋から、喫茶店の様子を眺めていたのだが……。

 

第8話 意外

 予想もつかなかった藤森あずさの登場に、タケルと純也はお互いの顔を見合わせた。
 再び視線を外に向けると、藤森あずさは駅前にあるフルーツパーラーの中へと姿を消した。メモには喫茶店と書かれていたが、駅前にはそれらしきものはそこしかない。

「姉貴の待ち合わせの相手って……藤森のことだったのか……」

 そう呟く純也の表情はどことなくホッとしたような感じがしていた。

 純也の言葉で、タケルの心も少し軽くなっていた。

 ハルカの待ち合わせの相手は、同じ日に学校を欠席している榎本義男であると勝手に決め付けていた。だがそれが間違いであったことを示すように、藤森あずさが自分達の前に現れたのだ。タケルが抱いていたもやもやした気持ちは、彼女の登場でどこかへと消え去っていた。

「水森の待ち合わせの相手って義男じゃなかったんだ。心配して損しちゃったよ」

 純也と同じく、安心したような笑顔を浮かべたタケルが再び味噌ラーメンを啜ろうと麺に箸をつけた。

「武藤は、義男が姉貴の待ち合わせの相手だと思ってたのか?」

 皿に残っていた最後の餃子に箸をつけながら、純也が尋ねた。

「うん……。実はさ、この間ちょっとした用事があって義男の家に行った時に、義男の家から出てくる水森に偶然会ったんだ。何で水森が義男の家にいたのか気になったから、義男に尋ねたら、アイツ、今は水森と付き合ってるって答えたんだよ。
 アイツの言うことだから、ホントかどうかは分からないんだけど、実際、義男の家から出てくるところ目撃しているだけに、ホントの話なのかなと思ってたんだ」

 純也はタケルの話を興味深げに聞いていた。タケルはさらに話を続けた。

「それに、義男がとても気になる事を言っててさ……」

「気になる事って何だよ?」

 

-ラブストーリー


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