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ハートフル

ある再婚

   

 
語らい
 

「由美子、飯でもどうだ?」
「あら、いいわね。」

時々、二人は一緒に夕食に出掛けた。気安く「由美子」、「秋山君」などと呼んでも、周囲の者は中学同級生と知っているから、「ああ、そうですか」くらいの関心しか持たなかった。

「あの時、よくケンカしたな。」
「そうよ、秋山君が譲らないからいけないのよ。」
「だって、由美子が『勝てないバスケに使わせるのはムダ』なんて言うからだよ。『秋山、絶対に譲るな』って、皆が俺の背中に銃を突きつけているんだ。しょうがないよ。」
「秋山君はいつもそういう役回りね。」

由美子自身は孝雄には悪い印象を持っていなかった。むしろ、他の同級生より、ずっと大人だと感じていた。

「実は・・まあ、この年だから許してよ。由美子が好きだったんだ。」
「ふふ、ウソばっかり。秋山君は星野先生一筋だって、女の子の間では有名だったんだから。」

星野先生とは、当時、24歳の英語教師で、バレーボール部顧問だった。

「星野先生は憧れ、でも本命は由美子。あんなにケンカしてたら、好きだなんて言える訳無いだろう。」
「そうか、私が秋山君の初恋の相手・・悪くないわね、ふふ、ふふふ。」
「ははは、告るのに、30年もかかってしまった。」

他人に聞かれたら笑われるような会話だが、由美子は嬉しかった。

「なんだか、中学のこと、思い出しちゃった。」
「ははは、昨日、卒業アルバムを見てきたよ。」
「いやね、今と比べたんでしょう?」
「今の方が美人だよ。」
「まあ、お上手だこと。」

 

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