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ラブストーリー

渚-nagisa-(12)

   

タケル達の前に現れた純也。自慢のリーゼントは剃り落とされ、野球部員のように頭を丸めたその姿を見て、タケル達は戸惑うばかりだった。頭を丸めたのは、ある理由からだと純也が漏らす。果たして、その理由とは……。

 

第12話 海岸

 タケルには、純也に会った時にどうしても伝えなければならない事があった。水森ハルカの事である。
 フルーツパーラーで義男の話を聞き、その情報を流したのが、実の姉であるハルカだということを知った純也。あれ以来純也とは何も話をしていない。

 あの日の夜、ハルカがタケルの家を訪れ、色々と話をした中で、ハルカの本心が、実は純也のトラウマを克服させる為だという事を、純也はまだ知らないでいた。

 弘樹の背中をパンパンと叩きながら、タケルの前を行く純也。そして、それを止めさせようと、何度も純也の手を振り払う弘樹。二人のやり取りは、何かコントを見ているようで、タケルとマイケルはその微笑ましく見ていた。

 弘樹は当初、純也と距離を置いていた。悪い噂と、どすの利いた声、それに不良のような格好をしている事に少し恐れを抱いていたが、あの夕方の特訓以来、その気持ちも自然となくなっているようだった。今では、ちょっかいを掛ける純也に対して、やり返す程、雰囲気が良くなっている。

 タケルが、前を行く純也を呼び止めた。弘樹にヘッドロックを掛けながら、ふざけている純也が、タケルの方を振り返った。

「ん? どうしたんだよ、武藤」

「あのさ、君の姉さんの事なんだけど……」

 タケルのその言葉に、純也の顔が一瞬曇ったような気がした。
 その表情から、ここは間を置いてはいけないと思ったタケルは、間髪を容れずにその続きを話した。

「お姉さんは、君を苦しめようと思ってあんな事をしたんじゃないんだ……。その、言いにくいんだけど、君が抱えている過去のトラウマを何とか克服させようとしてワザとあんな事を……」

 純也は黙ってタケルの話を聞いていた。その間も純也は弘樹にヘッドロックをかけたままだったが、タケルの話を聞き、何か思うことがあったのか、何も喋らないままじっと考え事をしていた。

 

-ラブストーリー


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