幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ラブストーリー

恋の足音7

   

天候の悪化で、スキーが中止になった伸吾達。
だが直ぐには自由行動とはならず、昼を回ってから桃花の部屋へと現れた伸吾に、桃花は昼食を作ってやりながら、幸せを感じていた。
ただ、笑顔の裏には、明日からの不安を抱えながら・・・。

 

 天候の悪化により、伸吾達ツアー客はホテルに戻る事になったのだが、それを見込んでの変更も企画されていたようで、直ぐに自由行動とはならなかった。
 桃花は一人家路に向かいながら、何度も溜息ばかりが口から漏れていた。
 自由行動となれば、伸吾はきっと家へと来てくれたはずだ。今日という日を、思う存分伸吾と過ごせたはずなのに、そう思うと、やっぱり溜息しか出てこなかった。
 アパートに戻った桃花は、ウェアを脱ぎ、普段着に着替えてからベッドに腰を下ろした。そして、携帯を手にとって、着信がないか眺めた。

「あれ・・・?」

 地下鉄を降りた時にも調べたのだが、その時は何も入ってなかったのに、今見てみれば伸吾からメールが入っていた。
 それを開いてみると、思わず桃花が吹き出した。大声上げて笑ってしまう程のそれは、伸吾が現在いる場所から写メールを送ってきた物だ。自分を撮った画像なのだが、とんでもなく情け無い顔でそれを写していた。
 そのあまりに酷い顔に、笑わずにはいられなかった。
 桃花は返信を押して、あっかんべーをして写真を撮り、それを添付して送信した。
 だが、撮った画像をフォルダで見てみると、なんて幼稚な事をしているんだと思わず額を押さえる。もう少し何かあっただろうと、咄嗟に思いついたポーズがコレとはと、26歳という年齢は、ただの年齢でしかないなと苦笑した。

 コーヒーを淹れて、テーブルでそれを飲みながらテレビに目を向けていると、メールの着信音が鳴り、携帯を手に取った。
 画面を開けば伸吾からで、『今から自由!』そう打ってきた。ふと時計を見上げた桃花は、昼を少し回った時間を見て、買い物に行ってこようと思い、それを伝えるメールを送ってから、財布を持った。
 コートを着込んで外に出ると、さっきは感じなかった寒さが身に沁みてくる。
 ウェアを着ていた所為だろう。少しばかり薄着になっただけだが、ひどく寒く感じた。
 コートの襟元を合わせながら、肩を竦めて歩いていく。そして、いつものスーパーに入り、カゴを持った。
 いつもなら、買う物を決めて来るから、真っ直ぐにその場所へと向かうのだが、今日は何も決めてこなかったため、入り口からゆっくりと回りだした。
 昼ご飯は食べたのだろうかと思いながら、腕時計に目をやった。仮にもしあのままスキーだったとしても、昼ご飯はきっと自分達だったのかもしれないと思い、伸吾にご飯を作ってあげようと、口角を上げた。

 

-ラブストーリー


コメントを残す

おすすめ作品