幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ラブストーリー

渚-nagisa-(14)

   

急な腹痛に襲われ、バッターボックスでうずくまる弘樹。クラスメートが心配する中、義男だけは遠目から弘樹のことを見つめ、ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべていた。その様子に気づいたタケルは、普段では見せないような厳しい表情を浮かべながら義男に近づいていったのだが……。

 

渚-nagisaー 第14話 薬

 お腹を抱えながら苦しむ弘樹の元へ駆け寄るクラスメート達。それとは逆に、ニヤニヤしながら遠目に弘樹を眺めている義男。不審に思ったタケルは、卑屈な笑みを浮かべる義男の目の前に立った。

「義男……お前、さっき弘樹に食べさせた肉の中に何か仕込んだだろう……」

 その問い掛けに対してもヘラヘラと笑いながら『何のことだい?』と惚ける義男。そのふざけた態度を見て、普段は温厚なタケルでさえも怒りをあらわにした。タケルは無意識のうちに義男の胸倉を掴んでいた。

「ちょ、ちょっと待ってよ。言いがかりだよ。確かに僕があげた肉が原因でお腹を壊したのかもしれないけど、別に中村君をあんな状態にしようと思ってあげたんじゃないさ。中村君には本当に活躍してもらいたいと思ったからあげたんじゃないか。言いがかりはよしてくれよ……」

 普段とは違うタケルの迫力に押されたのか、義男はおどおどした口調で自分が無実であることを主張した。

 義男の言う通り、今の状況では肉に何かを混ぜたという証拠はない。苦しんでいる弘樹を見てニヤニヤと不敵な笑みを浮かべていただけだ。その様子から、『何かを仕込んだのではないか?』という疑いがかけられているだけである。義男が何かを仕込んだという確固たる証拠をタケルは持ってはいなかった。

「早くこの手を離してくれないかな……。証拠もないのに僕を犯人扱いにするなんて、ちょっと酷すぎるんじゃないかい?」

 勢いだけで胸ぐらを掴んだが、そのあと何も言わないタケルの様子を見て、自分の方が優位な状況にあると悟ったのか、義男は見下すような口調で言った。そして胸倉を掴んでいるタケルの手を振り払おうとした。

「証拠ならあるでござるよ」

 タケルの後ろから突然、独特な口調でマイケルが話に割り込んだ。

「証拠がある? 君は何を言ってるんだい。僕がいったい何をしたと言うんだい?」

 義男がマイケルの言葉に反論した。

 

-ラブストーリー


コメントを残す

おすすめ作品