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SF・ファンタジー・ホラー

紅蓮の翼 9

   

あの女の父親。
内にあるものは、親子と言うべきか。

ひとをひとと思わない、言動。

侮辱には、侮辱を。

明かすことなく終わるはずだった、招待。

不定期に連載致します。

こちらにて初めての一般作品でございます。
こちらに関しては、
今後、一切の性描写も色恋沙汰もありませんので、あしからず。

 

「麗羅さま、下らない自尊心はそろそろ捨ててしまいません?」
「何のこと?!」

 鴬伽の嘲りを含んだ声に麗羅は過剰な反応を示した。

「あなた、自分が大僧正に本当に愛されていると思っています?」

 戒斉が愛しているのは麗羅個人ではなく麗羅が冠している宇滑の家名であり、そこが営み生み出す財なのだ。
 それを判ろうとしない愚かな女。
 または判っていて目をそらしているのかは定かではないが。

「し、失礼な女ね!! 何を下らないことを!!」

 半狂乱とでも言うのだろうか。
 麗羅は鴬伽を睨みつけ、怒りによって小刻みに震えていた。

「下らない。自覚のない女をめとる戒斉に同情する」

 麗羅にとって他人からの指摘は許されないものなのだろう。
 蝶よ花よと甘やかされて育ってきた麗羅には鴬伽の声は万死に値するようで、麗羅は鴬伽に手を挙げた。

「……っ」

 深窓の令嬢の力などどれだけ怒りが突き抜けようともたかがしれており、受け止めきれるものだったが、鴬伽は麗羅の自己満足を満たしてやるためによろけて見せた。
 その情景を認めて口角をつり上げた麗羅の顔は醜く歪んでいた。

 

-SF・ファンタジー・ホラー


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