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ラブストーリー

恋の足音8

   

今日でしばらく会えなくなる。
その事が二人の胸を締め付け、離れたくないと心が淋しがる。
時間が迫り、玄関に立った伸吾は、桃花に約束をした。
必ず、来るからその時は・・・。

笑って部屋を出た伸吾だったが、先に自分が壊れやしないかと自嘲した・・・。

*最終章になります。

 

 翌朝、暖かい腕に包まれながら目を覚ました桃花は、気持ちが既に沈んでいた。
 昨夜は、もう一度伸吾に抱かれて、今迄に無い程の快楽を得たのと同時に、切なさも味わった。またしばらく会えなくなるのだと。
 互いが達した後でも、伸吾は桃花に愛撫し続けた。甘えるように、桃花の肌から離れようとはしなかった。
 そうしている内に、眠りに落ちて行った二人は、抱き合いながら朝を迎えていた。
 伸吾の寝顔を見詰めながら、桃花はそっと頬に触れる。すると、数回小さく瞬きした伸吾が、目を薄く開き微笑んだ。

「おはよ・・・」
「あー・・・、失敗したぁ・・・。桃花の寝顔見る予定だったのになぁ・・・」

 冗談交じりにそう言って、唇を寄せてきた伸吾に目を伏せた桃花は、後何回、このキスを交わせるだろうかと、唇を離して時計を見た。

「・・・伸吾、時間」

 時計の針は、もうすぐ7時になる。
 寝過ごしてしまえば良かったのにと、桃花は溜息吐いた。わざと昨夜、目覚ましをかけなかったのだ。伸吾がチェックアウトする時間は、9時だと聞いていた。此処を7時半には出ないと、一時間前には着かない。7時半を過ぎて起きてしまったなら、伸吾をまだどうにかして引きとめられたんじゃないかと、邪心も湧いていたのだ。
 だが、やはりそんな時に限って、ちゃんと目が覚めてしまうものだ。
 桃花は、溜息と共に諦めつけて上半身を起こし、ベッド下に落ちている下着を拾い上げた。

「桃花、まだ要らない・・・」
「伸っ・・・」

 桃花の腕を引いて、ベッドに組み敷いた伸吾は、笑みではなく真顔で見下ろした。そして、唇を触れ合わせながら「愛してる」と囁いて、時間が許す限りと、桃花を抱いた。

 

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