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ラブストーリー

渚-nagisa-(15)

   

突然の山本亜里沙の告白。そして偶然そこに居合わせた水森ハルカ。距離が近づき始めていたタケルとハルカに割ってはいるような形になった亜里沙。三人の微妙な関係が、このとき始まろうとしていたのだが……。

 

渚 第15話 自覚

 目の前を通り過ぎてゆくハルカに声をかけることもできず、タケルはただ、ハルカを見つめる事しかできないでいた。ハルカを引き止めて声を掛けたいと思っていたタケルだったが、ハルカの言った『武藤君』という言葉が、その行動を起こす気持ちを押さえ込んでいた。

 この間までは、『タケル君』と呼んでいたハルカだったが、ここにきて呼び方を『武藤君』へと格下げしたのは、やはりハルカはこの状況をよくは思っていない事が理由だろう、とタケルは勝手にそう思っていた。

 タケルは自分の気持ちが水森ハルカに惹かれていることを、このとき初めて自覚した。

 ハルカの後姿を目で追うタケルをじっと見つめる亜里沙。その様子を見て、弘樹がタケルの腕を肘で小突き、わざと咳払いをした。
 弘樹のその行動で、亜里沙の視線に気づいたタケルは、慌てた口調で亜里沙に話しかけた。

「あ、えっと……。あの……その……」

 タケルは自分の身に起きた、初めての告白という出来事や、その告白の場面を、ハルカに目撃されてしまったという焦りから、思う通りに言葉が出ないでいた。

「あの不良みたいな女の子、武藤君の知り合いなの?」

 タケルよりも背の低い亜里沙が、タケルの顔を下から覗き込むようにして、タケルに訪ねた。

「あ、う、うん……クラスメート」

「お付き合いしてるとか、そんなのじゃないの?」

「あ、うん……」

「そうなんだ。よかった。なんだか怖い顔をして私のほうを見たから、てっきり武藤君の彼女かと思っちゃった」

 亜里沙はそう言いながらにっこりと微笑んだ。

「じゃあ、私はこれで……。武藤君からいい返事がもらえるとうれしいな」

 

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