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ラブストーリー

渚-nagisa-(17)

   

タケルの目の前でハルカに宣戦布告をした亜里沙。そんな彼女の大胆な行動に、タケルは言葉が出ないでいた。

微妙な空気が漂うパーラーとは別の場所。同じ時刻。怪しい動きをする二つの影があった。タケルに何としてでも復讐したいと考えている、あの男の影が……。

 

 第17話 二人

「今日はあいつの尻尾をつかめなかったな……」
 
 五十嵐は学校の手前にある長い坂を上りながら、少し遅れて歩く義男に言った。

「はあ、はあ……明日も僕があいつを見張って……はあ……きっと証拠を掴んでみせますよ……そしたらきっと……山本さんもあいつの事を嫌いになるはずですから……それよりも五十嵐さん……歩くスピードが速すぎやしませんか?」

 義男は普段身体を動かしている五十嵐のペースについて行けず、息を切らせながら答えていた。

「でも本当に大丈夫なのか? こんな事して、もしも山本さんにこの事がばれたら、俺は嫌われるんじゃないのか?」

「それは大丈夫ですよ。五十嵐さんは野球部のキャプテンなワケですから、こんな盗撮のような真似をしているだなんて誰も思ったりしませんよ」

「そ、そうか……それならいいんだけどさ……。もしもこんな事がばれたとしたら、俺の野球部のキャプテンとしての信用はガタ落ちだからな。俺の事がばれないように、うまい事頼むわ」

「ええ、それはもちろんですよ。五十嵐さんの信用を落とすような事は一切しませんので。僕は武藤君や中村君に何とかして仕返しをしてやりたいだけなんですから」

「お前も相当、執念深い奴だな。球技大会の時に恥をかかされたからって、こんな形で仕返しをしようと考え付くなんてさ……。まったく、お前を敵に回すと何をされるか分かったものじゃないな……」

「これからは僕と仲良くしてくださいね。そうすれば五十嵐さんにとって良い情報を色々と提供しますので」

「ああ、そうさせてもらうよ。お前を側に置いておくと、色々と得なような気がするしな。それよりも本当にお前の言っている噂は本当なのか? 武藤の奴が三股をかけてるってさ。俺はあいつがそんな事をしているようには全く思えないんだけどな。なんだかあいつ、見るからに真面目そうじゃないか。それに見た目もあまり冴えないし、とても女の子にモテるような感じには見えないんだけどな……」

 

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