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SF・ファンタジー・ホラー

紅蓮の翼 10

   

終わりを告げる、大鳥の鳴き声。

明かした正体は、鴬伽の周辺をざわつかせるが、
つきあうつもりはない。

祭りの最中。

帰路につく。

手渡したものを使うか否かは、
受け取った者次第。

こちらにて初めての一般作品でございます。
こちらに関しては、
今後、一切の性描写も色恋沙汰もありませんので、あしからず。

 

 鴬伽は自堕落にちびりちびりと紫紺を舐めながら荷物をまとめていた。
 荷物といっても大きめの麻袋ひとつであり、さほどの時間を要するものではなかったが、“沈黙の刻”を終え、冬の静寂から春のさえずりを迎えたように民たちは祭りに酔いしれ、その光景を肴に作業をするとなかなかはかどらなかった。
 というより、紫紺の味にその時間のほとんどを費やしているのだが。

「鴬伽さま、本当にお帰りになるんですか?」

 そのさまを半ば呆れながら見ていた美羽が言う。

「まぁな。戒斉とはそういう約束だし、あたしもいつまでもここにいるわけにはいかないしな」

 最後の一杯を飲み干して、麻袋の口を紐で締めた鴬伽は美羽に向けて笑った。

「それより、こんなところにいていいのか? 明日は矢萩との祝言だそうじゃないか」

 “沈黙の刻”を終えた直後の満月の日に祝言を挙げた夫婦は必ず幸福になるという言い伝えがあるらしい。

「いろいろと準備があるんだろう?」
「もうおおかた済ませました。それより鴬伽さま……」
「うん。帰るよ。美羽の祝言に参加してあげられないのは悪いが、身分を公表してしまったからな。あまり表立った席に出るのは避けたい」

 夕べの宴以来この屋敷への客人が増え、青嵐たちが苦心しているのを鴬伽は知っていた。
 いくら頭を下げられてもどうしようもないことで、下らないおべっかにつきあういわれは鴬伽にはない。

 

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