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ラブストーリー

渚-nagisa-(20)

   

 タケルの三股疑惑が発覚した翌日、掲示板には前日と同じように人だかりが出来ていた。
 今度のターゲットはタケルではなく、タケルの記事を書いた義男だった。タケルは誰がその記事を書いたのか、全く見当がつかずにいたのだが……。

 

渚 第20話 仲間

 新聞部E・Y氏、行き過ぎた取材!!

 当校の新聞部部員であるE・Y氏の行き過ぎた取材方法が、今回明らかになった。以前より、プライバシーを侵害するような取材方法で、何度か問題になっていたE氏。我々は今回そんなE・Y氏の行き過ぎた取材の模様をカメラに収める事に成功した。これがその時の写真である。

 先日、M・T氏の三股疑惑を報じたE氏はこの写真で分かるように、まるでどこかの週刊誌のカメラマンのように、M氏の私生活に密着し、シャッターチャンスをうかがっていた。これは高校生としてあるまじき行為であり、このような卑劣な行為が他の生徒の健全なる高校生活を脅かす恐れがあるとして、今回このような記事を書いた所存である。

 このような卑劣な行為は我々の手で阻止しなければならない。いや、阻止していこうではないか!
 なお、前日三股疑惑をかけられたM氏の記事であるが、一緒に映っていた女性二人は、彼のいとこであり、三股などかけていない事が、我々の取材で明らかになった。

 掲示板に貼り出された新たな学校新聞には、タケルと香織が一緒にいる所を盗撮している義男の後ろ姿がバッチリと映し出されていた。そして、タケルの三股疑惑を否定する記事も付け加えられており、タケルにとってこの記事はまさに救いの神だった。

 しかし、タケルには一つ疑問が残っていた。これはいったい誰が作った記事なのだろうか。香織と優がタケルのいとこである事を知っているものは誰もいないはずである。親友の弘樹にもその事は言っていない。

 でもよくよく考えてみると、それを知っている人物がタケルの周りにはいたのである。山本亜里沙だ。何故か亜里沙は香織と優の事を知っていたのである。こればかりは本人に尋ねるしかないと、タケルは思っていた。

 人集(ひとだか)りから離れ、自分の教室へと向かうタケル。教室に入ると弘樹と純也、そしてマイケルと亜里沙の姿があった。

「よう! おはようタケル。タケルの三股疑惑、すっかり晴れただろう?」

 弘樹がニコニコしながらタケルにそう言った。

「あの記事、弘樹が書いたのか?」

 

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