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マスクエリア 第五覆面特区〜二章 崩壊の足音(11)

   

カジモトの手の者は、清水たちを、行き先不明の空の旅へと誘った。目的地は、正確な場所は分からないもののジャングルで、植物に詳しい香西は、「南米のアマゾン辺り」と推測して見せた。そこにある、周囲とは不釣り合いな、西洋風の館こそが、カジモトの所在地なのだという。
そして、清水たちは、案内され、カジモトの居室へと足を踏み入れる。突然の敵の来訪や、様々な処遇に苛立ちを覚えていた彼らだったが、部屋に入り込んだ直後、さらなる衝撃的な事態に直面するのだった。

 

 来訪者が言う「ご搭乗」の中身は、一般の飛行機ではなく、特別にチャーターでもされたらしい特別便だった。
 いわゆる少人数搭乗用のビジネス機というやつで、小じんまりとしてはいるものの、自動車等に比べて、遥かに金払いのいいオーナーの意向に沿うため、設備はかなり充実している。
 清水たちが乗り込んだ飛行機も、榊原いわく、最新型ではないらしかったが、垂直離着陸システムや着水機能といったハード面だけではなく、内装も充実していた。
 大きい乗客席は座り心地が良く、自動調理で出される機内食も、一流の部類に入る。清水たちレスラーにとっては、離れた特区や「本土」への巡業時に常に飛行機は使うことになるわけだが、ここまで充実した機内サービスは受けたことがない。
「ここは一体どこなんだ。たとえ犯罪者相手でも、これからどこに護送されるか位は教えてくれるものだぜ」
 だが、吐き捨てるように呟いた香西の言葉を借りるまでもなく、清水たちにとっては最悪のフライトだった。高倉を預かっているということで、呼び出されたわけだが、実際高倉が今、どんな状況にあるかは全く知らされていないままである上に、目的地がどこなのか、現在どこを飛んでいるのかという点もまるで分からない。
 清水たちがいるフロアの窓は、全て黒く塗りつぶされており、外の景色を全く見ることができないのである。
「申し訳ありませんが、その質問には答えられません。いずれ、カジモト自身の口から皆様にご説明があろうかと」

 

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