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SF・ファンタジー・ホラー

マスクエリア 第五覆面特区〜二章 崩壊の足音(12)

   

「夢」から覚めた清水は、再び、カジモトと対峙することになった。カジモトが、高倉の件で激する清水たちに、高倉がここに来た理由を説明し、スイッチを押すと、清水たちが収容されている部屋の床の一部が割れ、下からリングがせり上がってくる。
清水たちは、別人のように精悍になり、マットの上で伝説の格闘家レマリオと向き合う高倉を、目撃する。

 

そろそろ、目覚めたまえ。清水君。

「ん…… ここ、は……」
 声に促されるまま、清水は目を開けた。
 こうこうと、人工的な光に照らされているようだが、頭がひどく重い。眠気はそれほどないが、今、自分がどこにいるのか分からず、辺りをきょろきょろと見回すと、香西と榊原が座っているのが分かった。
 ぼんやりした意識の清水とは対照的に、真剣な表情で、斜め上を仰ぎ見ている。
「ようやくお目覚めのようだね。薬の分量は控えめにしたのだが、どうやら君は、効きやすい体質だったようだ。全身麻酔で手術をする際には、その旨を事前に言うべきだろうな」
 スクリーンの中には、カジモトの姿があった。多分に冗談めかした口調で清水に語りかけてはいるが、形の良い瞳を彩る眼光は、紛れもなく、威圧の感情を全面に押し出している。
 スクリーン越しでなければ、この眼と向き合っただけで、後ずさりしてしまうかも知れない。
「これは一体どういうことだ! 何故社長室に入ったはずの俺たちが、いつの間にか眠らされていたんだっ」
 清水は、激しい口調でカジモトを詰問しながらも、油断なく自分と周囲の状況に注意の網を張っていた。
 どうやら、清水たちに拘束具は付けられておらず、敵も潜んではいないようだったが、広い部屋には窓が一つもなく、ドアも、囚人収監用の強化アクリルか何かで作られているらしい。
 これでは、格闘家三名が全力を尽くしたとしても、カジモトたちに危害を加えることはできないどころか、脱出すら不可能だろう。

 

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