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恋愛 / ラブ・ストーリー

君がいない世界なら、僕は生きていけない・10

   

 五人組が出てきた。どこかへ出かけたようだ。

 その隙に俺は白咲が奪われたものを奪い返す。

 煉獄会とアンチズは、抗争が勃発しそうなほど、危険な状態になっている。

 だが、渋谷をどのくらい把握しているかで、逃げ切り、追い詰めることができるか、両軍切羽詰っているだろう。

 その中で俺は仲裁役に勝手になろうとしている。

 そこで俺はあるものを購入した。
 
 

 忍び足で家屋に入り、俺は目あてのものを物色しているが、見つからない。

 勘がはずれ、やはり二階へといそいだ。

 ある一室の襖を開くと白咲のショルダーバッグがあった。

 そこに階下から、ガチャッと音がした。

 

 
 俺の脳裏で、そこまで思想を映像化した。だが、これはまだ俺の想像に過ぎない。本当に当たりをつけて乗り込むのかはまだわからない。

 抗争はご法度。

「そうはさせない…」俺は奮起しながら、かならずあれを奪う。悲しみが悲しみを生む連鎖は断ち切らねばならない。生涯で触れることのない代物だ。様々なことが思考をめぐらせながら視線はじっと正面をむいていた。

 酒屋から五人組がでてきた。無用心にも鍵をかけずにでていった。

「だれかまだいるのか…」それとも五人だけだったか。

 そうだ、思い出せ。入っていくとき鍵を開けていた。

 男は五人だけだ。二階の明かりも点いていない。昼間だが人がいるかいないかの気配はわかる。カーテン越しでも立ち上がって窓に近寄ればうっすらと影が浮かぶものだ。

 ということはいまは誰もいない。五人は白咲のショルダーバッグを誰も持っていなかった。手荷物になるような入れ物は誰一人所持していない。それなりの大きさだから手ぶらを装うにも身体のどこかはかならず膨らむ。

「家の中の冷蔵庫あたりにいれたか」

 いや、隠したのだろう。冷蔵庫でないにしても部屋のどこかにあるのは明白だと推測はたつ。少し時間が経過してから侵入しようと考えた。

 五人組は遠目からでも渋谷駅の方へと向かって歩いているのが視界に入る。なにをするつもりかはわからないが煉獄会が目の色変えて躍起におまえたちを捜しまわっている。だが、気にしないのか互いに渋谷をどれだけ把握しているかだ。

 地の利を知り尽くした方が逃げ切り、追い詰められるというものだ。

 微妙な差異が両軍にどう軍配をもたらすかは抗争がはじまってからになるが、俺はただその仲裁役に勝手に割り込む。

 火に油を注がないために。両軍知りえない存在となり透明人間と化す。

 白咲はまだアスファルトに這いつくばっているのかもしれない。本来なら取り引きの時間になっているかもしれないというのに、脅えてどうにもできず震えて縮こまっているのだろう。

「よし念のためだ」

 コンビニエンスストアが目と鼻の先にあるのをみて、ある物を買った。

 囮のために購入した。

 誰もおらず五人組が帰ってこなければ、これは必要なくなるが身を護るためのアイテムにほかならない。これくらいの対策は練っておくのが得策だ。

 近くで見張っていないか周囲を警戒して廃屋に近づき五人組がでてきたドアを開いた。ドアをゆっくり音も立てないよう静かに閉じた。入ったところを誰かに目撃されてもこの家の住人のような態度を装えばいい。要は度胸だ。

 渋谷の騒音が扉一枚挟んだだけで静まり返った。それが異様に不気味さを演出するほどの元酒屋は身体の水分を奪うように身を縮ませる。

「バカな連中だ。組織と抗争をするのにこんな一般家庭の家がアジトなんて、一瞬にしてぺしゃんこになる」

 靴を脱いだ。後戻りはできないため、脱いだ靴を手に持った。コンビニエンスストアで購入したときに小さなエコバッグを買った。その中にある品物が入っている。

 左手で靴を持って中へと侵入した。五人組が中に入って出てくるまでに十五分はかかっていた。そのあいだに白咲から強奪したショルダーバッグをみつけなければならない。十五分でどこかに隠し、そろってでてくるだけの場所に見当をつけて探る。

 一階だと思うがやけに散らかっている。リビングはもちろん、キッチン、水回りの風呂場に物があふれている。酒屋を廃業してからは片付けたくてもできないのかもしれない。

 

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