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ラブストーリー

渚-nagisa-(24)

   

周りには理解しがたい奇妙な三角関係になったタケルとハルカ、そして亜里沙。それを象徴づけるような出来事が、昼休みの中庭にあった。奇妙なその様子を見た弘樹と純也だったが、純也の視線の先には、三人の関係よりももっと気になるものがあったのだが……。

 

渚 第24話 お弁当

 タケルの特訓もすでに三日目を終えていた。
 毎日毛虫をくわえたジョンに追いかけられ学校まで全速力で走らされていたタケル。弘樹たちが家へとやって来るまでに家を出たらジョンに追いかけられる事もないだろうと思い、二日目は約束の時間よりも二十分早く家を出た。だが、途中で待ち構えていた万次郎に捕まり、結局二日目も三日目もジョンに追いかけられる破目になってしまった。

「だから逃げ出したって無駄だって言っただろう?」

 教室の中でタケルの後ろの席に座る弘樹が、家から持ってきた水筒から、何やら怪しい液体をコップに注ぎながらタケルに向かって言った。

「まあ、これ飲んで元気出せよ。マイケルが居候している定吉さん家に代々伝わる秘伝の薬だぞ。体力を回復するにはこれが一番!ってマイケルが言ってた。マイケルが言うにはこの薬は遥か昔、唐の時代の中国から……」

「説明はいいから……それより弘樹の兄貴はよっぽど暇なのか? 毎朝毎朝、よくあんなに早く俺の事を待ち伏せできるよな。全く感心するよ……」

「何言ってんだよ。みんなお前の為じゃないか。兄貴も昔お前をいじめた罪滅ぼしだって言ってただろ? みんなお前に協力してやりたいんだよ」

「そうか? 俺には二人が俺が必死になって逃げるのを見て楽しんでいるようにしか見えないんだけどな……」

「それはお前の気のせいだ。俺も兄貴も真剣にお前の事を助けてやろうと思って必死で色々と考えた上での作戦なんだぞ。つべこべ言わずに俺たちを信用して、これでも飲んで体力回復しろよ」

 そう言うと、弘樹はマイケルからもらった怪しい液体をタケルに渡した。

「これ、飲んでも大丈夫なの? おなか壊したりしない?」

 タケルは水筒のコップに注がれた真っ黒な液体を覗き込みながら言った。

「なんかこれ、正露丸みたいな匂いするんだけど、こんなの飲んでホントに大丈夫か?」
 タケルが不安そうな表情で弘樹の顔を見たが、弘樹はニヤリと笑い『大丈夫大丈夫! 俺も球技大会の時にそれを飲んで助かったんだから、心配すんなよ』とその怪しい液体を早く飲めと急かした。

 

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