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歴史・時代

宮廷戯曲/第4話

   2005年10月1日  

はぁ、と紫嬉は、熱っぽい息をひとつ吐き出した。
高呂順が訪れるのは、老帝が紫嬉を召した日の翌晩と決まっている。最後に召されたのは、もう半月も前のことだ。これまでは、寵の褪せることを口惜しみ、あの小娘を恨んだが、今は違う。ただ、あの男に逢いたい。
抱かれる悦びを覚えた体は、残酷だった。その熱を求めて、血がたぎる。
紫嬉の指が、そっと、衣服に差し入れられた。
目を閉じると、あの男の指使いが甦る。その記憶を追いながら、自らの乳房を嬲る。固くしこった先端を指先で転がす。
「ン…」
たったこれだけで、身体の芯が溶けていきそうになる。トロトロと熱い体液が染み出して、紫嬉の下着を汚す。
高呂順と交わって始めて知った。この液は、痛みをやわらげるためのものではなかった。こんなにも熱く、全身を侵す甘い痺れを増幅させるものだったと。

ゴト…
紫嬉は、寝台の側の小物入れの引き戸を開けた。いくつかの品物の奥から、あるものを取り出す。
それは、男根を模した木製の器具だ。後宮の女たちは、これで自らの身を慰める。
老帝のお召しの頻度が減った昨今、女官のひとりが気を利かせて、そっと紫嬉に用意したものだった。
(こんなもの、必要とするなぞ考えられなかった)
あの老人との行為しか知らなかった紫嬉は、それを目にして純粋に嫌悪感しか覚えなかったのである。
何故、わざわざ、痛みをおぼえるようなことを自らせねばならぬ? そう思っていた。
しかし、今は違う。

 

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