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歴史・時代

宮廷戯曲/第4話

   2005年10月1日  

紫嬉は、その道具を、高呂順のそれに見立てて、ねっとりと舌を這わせる。たんねんに口で愛撫しながら、思い浮かべる。
(どのような顔をみせるであろう…)
呻くように声をあげるだろうか? 快感のあまり首筋をみせるだろうか? あの涼しげな眼元にどんな表情を浮かべるだろうか?
実際には行ったことのない奉仕を想像しながら、紫嬉の興奮は高まっていく。蜜のあふれる秘部が、高呂順を求めてうずく。
(欲しい…)
紫嬉は、衣服をめくり、唾液でてらてらと光るそれを、股間に押し当てた。
「ンンッ…ハァァァ」
声を押し殺して、ゆっくりと挿入する。
今は、まだ日中だ。人払いをしたとはいえ、隣室には人の気配がする。
声をかみ殺す、その状況が、紫嬉の快感に油を注ぐ。
クチュ ヌチュ ヌチュ…
「…ッ…ンンッ…ア…」
やがて自らの手で動かしている事実を忘れる。ただ内壁を擦り上げるその刺激だけを腰が追い続ける。そして…
(…あ、もっ…だめェ)
「ンァァア–…ンンッ」
痙攣によって、手にしたものが激しく揺さぶられ、そのまま、紫嬉は浅い眠りに落ちていった。

遠くから歌が聞こえる。単調な節回しを繰り返す、それは子守唄。
(あぁ、これは…)
母の声だ。幼い頃に亡くなった母の声。
「祥峯(ショウホウ)…祥峯はどこ?」
母の声は懐かしい名前を呼ぶ。それは、11歳で役人に売られた少女の名。
その少女は、花の都で、老帝の寵を得て、紫嬉という名を与えられた。
もう二度と帰ることのない…貧しい故郷。その匂いにつつまれて、眠る紫嬉は、ひとすじの涙をこぼした。

 

第4話 Fin

 

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