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ラブストーリー

渚-nagisa-(25)

   

体育祭本番を迎えたタケル。最近、早く起きることが習慣になっていたタケルは、目覚ましが鳴るよりも早く起きた。

目覚まし時計に勝てたことで、今日は何か良いことが起こりそうだと思ったタケルは、淡い期待を胸に、体育祭へと向かうのだが……。

 

渚 第25話

 タケルは6時には目が覚めた。

 最近は早く起きる癖がついていたのか、6時半に合わせた目覚ましよりも早く起きることができた。

 タケルは布団を蹴り上げた。そしてスクッと立ち上がると部屋の窓を開け、大きく深呼吸をした。

 朝のひんやりとした空気が部屋中を満たした。タケルは清清しい気持ちのまま、大きく伸びをした。気持ちよい朝に、タケルの心の中には、今日一日全てうまくいきそうな、そんな気がしていた。

 少し身体を動かそうと思い、ジャージに着替え玄関を出る。先程とは違い、身体全身でひんやりとした新鮮な空気を受け止めると、さらに元気が溢れ出すような気がした。

 門の前で屈伸をしながらまだ完全に起きていない身体を徐々に温める。身体を伸ばしているうちに、額に汗がにじみ始めてきた。

 タケルは「よし!」と気合いを入れると、その場で二、三回軽くジャンプをし、それからゆっくりと走り始めた。

 身体が軽い。今までとは違う、不思議な感覚だった。まるで後ろから誰かに押されているようにスイスイと足が前に出て、風に乗っているように楽に走ることができる。

 昨日の朝、ジョンに追いかけられているときにも、こんな感覚が少しあったが、今日はそれ以上に身体が軽い。

 あっという間に家の近所をまわり終え、家の前にたどり着くと、もう少し走っていたいような、そんな気持ちになっていた。

 今日は体育祭だということで、タケルの母は、朝からとんでもなく豪勢な朝食を作っていた。

 いつものほうれんそう入りの玉子焼きや、焼き魚に加え、ミートボールやたこの形をしたウィンナー、それにいなり寿司に巻き寿司、そしてなぜかとんかつ。

 いなり寿司や巻き寿司は、お昼のお弁当の為に作った残りだということはわかるが、朝からとんかつは食べられないよと母親に言うと、『とんかつ』は名前に『かつ』が入っているから、縁起がいいのよとさらりと答える。

 

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