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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

秘密-すれ違う二つの心-(5)

   

 隣町のショッピングセンターで雄一郎と黒田マユに出会った俺は、智美が目の前にいるにもかかわらず、戸惑いを隠せずにいた。このままでは勘の良い智美に、黒田マユのことがばれてしまう。何とか自然にこの場から立ち去ろうとするが、智美は不審な表情を浮かべ、俺の顔をじっと見ていた。

 

 偶然か? それともわざとか? 通路を挟んで見える雄一郎の顔はにわかに微笑んでいるように見える。あいつは確かに俺の存在に気がついている。

 それにしても隣にいる女性は誰だ? アイツの彼女か? そんなことは今はどうでもいいか。とりあえず黒田マユと雄一郎がいるこの場所から早々に立ち去らないと、智美に何かを勘付かれる恐れがある。

 そう思いつつ再び智美の方へと視線を向ける。さっきまで智美の後ろにいた黒田マユの姿はそこにはなかった。

「今日はもう帰らないか? お前も欲しいものがなかったんだろう? 何だか今日は実那美の面倒を見ていて疲れたよ……」

 適当な言い訳をして俺たちはこの場から立ち去った。

 帰りの車の中、様々な思いが頭を過ぎる。雄一郎と黒田マユがあの場に居合わせたのは果たして偶然なのだろうか。偶然にしてはタイミングが良すぎる。もしかして雄一郎の策略?

 そうだとしたら何のために?

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド