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ラブストーリー

きっと、ずっと好きだった

   

二十数年、幼馴染みだった健(たける)は、やっぱり幼馴染みだったはずなのに。
何度と繰り返してきた失恋の報告を、いつものファミレスに健を呼び出して聞かせていたアタシに、突然変化が訪れた・・・。

 

 別れは、割りとアッサリとしていた。
 恋人として思えなくなった、それだけ。
 友達として一緒に居たいとは思う、そう言ったアンタは、アタシの笑みを見てホッとしていたと思う。泣き言も、責める言葉もアタシは言わなかった。
 言うまでの気持ちが湧き上がらなかった。
 だから、気持ち良く別れてあげた。
 そう、なんの蟠りもなく、恋人と別れてあげられた。

 アタシを見詰めて、幼馴染みの健(たける)は、瞼を落としている。
 もう何度も見た顔だ。言いたい事は、手に取るように分かる。

『馬鹿じゃねぇ?』

 健が言うのと同時に言ってやった。

「分かってんなら、俺に一々報告すんなボケ」
「ボケ言うな、バカ」
「何でな、俺がこんな時間にテメェに呼び出されて、毎度毎度こんな話を聞かされてだな、たかがチョコパフェで誤魔化されなきゃならんのだ」
「好きでしょ、チョコパフェ」

 ムッと突き出された健の唇。それにフフンと鼻で笑うアタシ。
 健の降参した顔を見て、アタシは喉で笑ってから頬杖付いた。
 好きで付き合って、色んな事を楽しんで、いっぱい笑っていっぱい怒って、切ない気持ちも何度も感じてきたのに、別れの時には随分アッサリと笑って別れる。
 一体、一緒に過ごした時間ってなんだったんだろうって、ふと表情を消した。

「まだ未練あんのかよ」

 健がパフェにスプーンを刺しながら、アタシを小馬鹿にしたような目で見る。
 その問いも、毎度される質問だ。だけど、アタシの口から出るのはいつも同じ言葉で、健は「あっそ」と素っ気無い返事をした。

 未練があるかと聞かれても、考える間さえない程にその存在は消えている。
 いつも健を呼び出すのは、ただ愚痴を言いたいだけなのだが、考えてみれば愚痴ではなくて、ただの報告なのだ。
 それにいつも付き合ってくれる健を、アタシは今日初めて真っ直ぐに見た。
 何だという訳じゃない。ただ健を見てみた。

「・・・はぁ」
「何だよっ!?その溜息は!?」

 健の顔を見て、思わず溜息が出た。
 それに不満そうに捲くし立てて文句を言っているが、耳には届かない。
 今回の失恋は、意外と自分にとって、いつもと違う物だったのかなと、いつものファミレス、いつもの席、その横にある窓の外を見ながらアタシは目を細めた。

 

-ラブストーリー


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