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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

秘密-すれ違う二つの心-(7)

   

ショッピングセンターをあとにしてから、創の様子がいつもと違うと感じた智美。真相を明らかにしようと、智美が投げかけた言葉に、異様な反応を見せる創だったが……。

 今回のお話は『智美』視点です。

 ショッピングセンターでの創の慌てた様子に対し、疑問を持った智美が、創の真意を探るために『誰かに会ったのか?』という質問を投げかけたあとの続きとなります。

 

 旦那は明らかに動揺していた。

 旦那は動揺すると、額に汗を滲ませる事が多い。今日はそれほど気温も高くはないし、車内はエアコンが効いている。旦那が何かを隠そうとしているのは明らかだった。

 何かを口ごもるが、言葉になっていない。私はたたじっと旦那の顔を見つめ、彼が答えるのを待っていた。

「う、うん……たまたま同僚に会った」

 旦那の口から同僚という言葉が漏れた。

 旦那は何故か会社の同僚や自分の友達を私には紹介しない。もともと人付き合いがあまり上手い方ではない。今回もたまたま同僚に会い、たじたじになる事を恐れていたのだろうか。

 よくよく考えてみると、そちらの線の方が濃いかもしれない。私の思い過ぎだったのかと思うと、自然と笑みがこぼれた。

「あ、そうなんだ」

 心配して損をしたかもしれない。旦那に私の他に女を作る甲斐性などがないことは、私が一番よく知っていた。いつしか頭の中は、旦那の同僚の事よりも、詩織ちゃんのママの方へ意識が移っていた。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


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