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ラブストーリー

渚-nagisa-(28)

   

タケルの目の前で起きた突然のアクシデント。義男が転んだ拍子にマイケルを巻き込むと、マイケルはその勢いで、トラックでバトンを待つ亜里砂とハルカに向かって飛び込んでいくのだが……。

 

渚 第28話 アンカー

 宙を舞うマイケル。タケルは二人を助けるために駆け出した。しかし、タケルが飛び出したときにはすでにマイケルはハルカと亜里沙を巻き込みながら地面へと倒れていた。

 タケルは重なり合うようにして倒れこんでいる三人を起こそうと(義男の事はどうでもよかった)近づき、一番上にいるマイケルを起こそうと、手を伸ばした。しかしその時、体育祭実行委員がピーっと笛を吹いた。

「まだ競技が終わっていないので、現時点で競技に関係のない者が手を貸すと失格とみなしますよ!」

 黒ぶちの眼鏡をかけ、いかにも真面目そうな、規則をキチンと守らなければ気がすまないような雰囲気を持つ女子が、タケルの顔を見ながら言った。

 タケルは渋い表情をしながら倒れている三人から離れ、そして叫んだ。

「あとのクラスが追い付いてきてるよ、とにかく早く体勢を立て直すんだ!」

 タケルの声で今の状況を把握したマイケルが急いで立ち上がる。そして次にバトンを渡すはずの亜里沙を両手で引っ張りながら起こし、バトンを渡した。亜里沙はどうやら怪我もせずに済んだようである。

 亜里沙はまだ倒れこんでいるハルカを気にしながらも、ルール上、他のクラスの生徒に触れることができないことを悔やみながら、自分の役目をこなすことしかできなかった。

 心配そうな表情を浮かべながら、ちらりとハルカをチラリと見た後、亜里沙は走り始めた。

 ハルカはまだ地面へと倒れこんだままである。現時点でハルカを助け出せるのは、現在バトンを持っている義男だけだ。

 義男もこの状況を何とかしようと、倒れるときに捻ったと思われる右足を引き摺りながらハルカの所へと向かった。

 そして、ようやく起き上がろうとしているハルカにバトンを渡そうと手を伸ばした。

「ハルカちゃん、ごめんね……。僕がドジったせいで君まで巻き込んでしまって……。なんといって謝ったらいいか……」

「そんなことより、早くバトンを渡して!」

 ハルカはそう言うと、義男から奪い取るようにしてバトンを受け取った。

 

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